風に吹かれて超えて行く (ページ15)

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どこでも旅立ちはページ15

戻ってくると、また何だかうるさくて…
何だか、嫌な感じがした。

ジュペッタを少し強めに、抱きしめながら、走って行くと…

鉄の匂いがひどかった。
血の匂いだ。

まだ、手当てされてない人がいたから数人だけ手当てする。

…無力だな、私。

こんな中なのに、都を出て行きますだなんて、なんて不謹慎なヤツなんだろう。

それでも、行かないといけないと思った。今を逃したら、帰れなくなる気がする。

自分のもらった部屋から、服と鞄を持ち出す。
鞄には、あっちの世界からのものがいっぱい入ってるから大丈夫。

ジュペッタをまた抱えて、歩き出した。

行く途中に、テヨンを見つけた。
元気になったのかな。

『テヨン』

「あっリノ姉ちゃん」

少し、ジュペッタを下ろして

テヨンを抱きしめた。
寂しくないように。

「リノ…姉ちゃん？」

『私ね、ここを出ようと思うの。
ここは、大好きだよ。でもね、帰らないといけないから…探さなきゃいけないの』

「そっ…かぁ！」

『うん』

「帰るときは…行ってね、み、んな、で、宴開くからッ！」

『うん』

『ありがとう』

私に抱き付いてくるテヨンを離そうとせずに、只々頭を撫で続けた。

『落ち着いた？』

「ッうん」

『そんな、強くて優しいテヨンに…』

真っ赤な、真っ赤な、私のマフラーを首に巻いてあげた。
体が冷えるとダメだからね。

『私のだから、古いかもしれないし、嫌だったら、捨てていいからね。』

「ううん！姉ちゃんの優しい匂いがする…」

『そっか…じゃあね、元気で。』

もう、会えないかもしれないけど、これからも元気でいてね。