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(夏目side)
ニ「人とうまく付き合えなかったレイコは、憂さ晴らしに、見かける妖たちにかたっぱしから勝負を挑んだ。
レイコは強力な妖力を持っていて……ほとんどイビリだったわけだが、相手を打ち負かしては、負けた方が子分になるという約束を守らせるために紙に名を書かせた。
それを集めまくったのが【友人帳】だ」
少し畏れ多い物のような気がして、後ろに追いやった友人帳をひざの上に乗せて表紙をそっとなでてみる。
少しざらりとした厚紙のような感触が指を撫でた。
それを見て、満月がそっと縁を撫でた。
「……こんなに、レイコさんはイジメまくったんですか…?」
恐ろしいです……、と小さくもらした満月が、ぱら、ぱら、と恐る恐るめくって枚数を数えていく。
ぽつり、ぼそり、めくるたびに呟かれる数字は、すでに30を超えていたりする。
満月は数字の他にもなにか呟いているようだが、小さすぎてよく聞こえない。
夏「あ、あ……なんだか頭が痛くなってくるな…。……ニャンコ先生は何でそんなのが欲しいんだ?」
二「…それは、お前……。
その紙を持つ者に名を呼ばれ命令をうけると逆らうことはできないと言われている。
つまり、多くの妖を統べることができるのだ」
真剣な顔で言うニャンコ先生。
多くの妖を、統べる名簿帳……。
夏「…これがそんなにたいそうなものなのか?」
すまん、と一言言ってから満月の手から友人帳をもらって、軽くぱらぱらぱらとページをめくる。
やっぱり、普通は理解不能の妖たちの名。
でも、なんだかな〜。
二「わっ! ぞんざいには扱うな! その紙を燃やすとその妖も同じめに遭うと言われているんだぞ!?」
「ほ、本当ですか?それ、ページが軽く百を超えちゃっていますけど」
先生が噛みつきそうな勢いで言い、満月が友人帳を指さして言う。
夏「ひ、ひゃく、いじょう……!?」
二「なんせ、見かける妖をかたっぱしに倒していっていたからな。三百あっても不思議ではないぞ。
だからこそ、ここら一帯の妖は夏目レイコを探し回っているのだ。
お前、あぶないぞ」
余裕を乗せた笑みを消して、じっとこちらを見てくる怪しげな顔は、それが間抜けな招き猫のものであってもそれは確かに【妖】だった。
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ルア・クロワール(プロフ) - さんきゅう、ゼル!次も頑張るのにゃ! (2015年1月27日 21時) (レス) id: 266707fba7 (このIDを非表示/違反報告)
ゼル@瑞西領平成目隠島物怪村(プロフ) - ルアー!ハロハロ~☆やっと来れたよ!夢主ちゃん激おこぷんぷん丸カムチャッカファ…げふんげふん。とりあえずお気に入りぽちっとな! (2015年1月24日 22時) (レス) id: d2761511ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルア・クロワール | 作成日時:2015年1月23日 21時