４７話 ページ47
「大丈夫だとは言い切れないけど、多分心配いらない。考えられる原因は色々ある。興奮状態、急激な成長に伴う体調の様々な変化...とりあえず今は様子を見るしか出来ないんだ。」
「そう...か。」
俺はベイビをそっと寝転ばせた。
「ベイビ...急に大人になっちゃったね。」
少し寂しそうな声で話しながら頭を撫でるハン〇。
「大きくなると...困るのに...。」
ベイビは呟いた。
「どうして困るんだい？」
「思い出したくない事も...思い出して...。」
そこまで話すとまた気持ち悪そうな顔をした。
「ベイビ、少し寝ろ。俺はハン〇...」
ぎゅっと俺の手を握り締め、...額を俺の手に乗せながら「行かないで...。」と呟く。
ハン〇が俺を見て頷くと、部屋を出て行った。
「パパ...私の名前...思い出した。A...っていうの。」
俺の方を向いて寝転び、ずっと手を握りながら話し出した。
「そうか、良い名前だな、A。」
「ありがとう。」
Aは微笑む。
「ところで、思い出したってどういう事だ？」
「ん、思い出したって言い方は大げさだった...かもしれない。断片的に...。」
そっと目を瞑り、何かを思い出している様子に見える。
「それは何の...何処での記憶だ？」
「...わからない。でも...誰かと話してたり...遊んでたり...してるみたい...。」
次の瞬間、いきなり眉間にシワを寄せ「うぅ...」と辛そうな声を出した。
「大丈夫か...？」
俺は頭を撫でてやる。
目を開けるとまた微笑んだA。
上半身をゆっくりと起こすと、唇に...唇を合わせてきた。
「もうパパ...って呼べない。リ○○○...って呼ばせて...。」
切なそうな目をして...見つめてくる。
頭の中でエル○○○が受け入れろと言ったのが...こだまのように響く...。
(...エル○○○...お前の期待に答えてやるよ。俺はもう...人間には戻れない...。)
固く目を瞑り...覚悟を...決めた。
「あぁ...好きに呼べばいい。」
Aの頬をそっと撫でると...俺は微笑んだ。
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作者名：KYRKR | 作成日時：2017年5月11日 1時
