４４話 ページ44
「普通の...思春期の女の子だね。身体も確認して、簡単な知能テストもしたけど問題は無し。ただ...」
「ただ...？」
俺は眉間にシワを寄せた。
「ベイビは...リ○○○が...好きらしいんだ...。」
沈黙が...流れる。
「私はパパが好き。ダメなの？」
悲しそうな顔で俺に聞いてきた...。
「好きって...単純に親だから...好きなんじゃねぇのか？」
呆れた声でベイビに聞き返す。
「違う、ちゃんと意味をわかって言ってるよ...。」
「バカな事を...」
「バカじゃない！！バカじゃないもん！！」
ベイビは大声で叫んだ。
「お、落ち着いて、ベイビちゃん。」
ペト〇がなだめようと声を掛ける。
「私...が...私が...人間の子供じゃないからダメなんでしょ！！」
皆の体がこわばっていく...。
「ベイビ...知ってた...の？」
ハン〇が唖然とした顔をした。
「どうして...それを知ってるんだ...？」
「わからない...。わからないけど！！さっき思い出したの。私...小さい時に巨人になったよね？」
涙をポロポロと流し出した。
記憶が無いと思っていたが...思い出してしまった様だ。
「あぁ...そうだ。巨人になった。」
仕方なく俺はそれを認めた。
「パパ達が立体起動装置と刃を手放さないのは...私を殺す為でしょ...。」
「ベイビ...。」
ハン〇がベイビに触れようとするとその手を払いのけた。
「私は...！巨人になんかならない！このまま皆と一緒に居たい！パパとずっと暮らしたい！！ねぇ、ダメなの...？」
そこまで言うと、嗚咽を漏らしながら泣き崩れたベイビ。
何も...言えなかった。
ペト〇がベイビの背中を撫でてやっている。
黙って、泣いている姿を見つめ続けるしか無かった。
１時間が経ち、ベイビは泣き止むと部屋を出て行こうとする。
「何処に行くんだ！」
俺が止めるとニッコリと笑って「殺して？」と言ってきた。
「何...を...。」
「どうせ...このまま生きていても、パパの事がいくら好きでも...報われないんでしょ？私の存在を恐れて...持て余すんでしょ？なら...殺してよ！」
ベイビは叫ぶ。
「俺は...俺はお前を殺す為にてめぇを育てた訳じゃねぇ！バカな事を言うな！」
ベイビの腕を掴みながら叫んだ。
「じゃあ私は...ど...うす...」
俺の目を真っ直ぐと見つめて聞いてきた。
次の瞬間...ベイビの体が崩れ落ちる。
「お...い、おい、ベイビ！」
ベイビの体を受け止め、体を揺り動かす。
「感情が昂り過ぎて、気を失った様だね。」
ハン〇が呟いた...。
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作者名：KYRKR | 作成日時：2017年5月11日 1時
