３３話 ページ33
「う...ん、エレ〇はまだ調べてないから比べようが無いんだ。エレ〇には巨人の時の血液が欲しいと頼んでいるんだけどね。なかなか機会に恵まれなくて...。」
肩をすくめてハン〇が話した。
「血液が同じ...。」
エル〇が顎を触りながら呟き、ベイビを見つめている。
「まぁまだこれから研究していけば、何かを掴めるかもしれないし！おいで、ベイビ〜！」
駆け寄って来たベイビを抱き上げると、頬ずりをした。
ベイビはくすぐったいのか、ハン〇の顔を押しながらキャッキャッと甲高い声をあげる。
「ベイビちゃん、走っちゃダメ！」
ペト〇が注意すると小さな手を真っ直ぐと上にあげ、コクリと頷いた。
「...走るなって言うのも可哀想ですね。」
「仕方ないだろう、グン〇。転ばれでもしたら困るからな。」
「はい...。わかってるんですが、俺が子供の頃は転んで膝を擦りむいて、それでも走って泥んこになって...って遊んでたのを思い出してしまって。」
ハン〇に抱かれて笑うベイビを見つめながら、悲しそうな表情で話す。
「ベイビがもう少し成長してから、話すしかねぇだろうな。怪我をすると...病気になる、とでも...。」
「そうですね、仕方ない...ですね。」
「あぁ。」
カシャ...。
鞘ケースの中で刃の音が鳴る。
装着し慣れてるはずの立体機動装置が今日はやけに重く感じ、俺は空を見上げた。
「パパ、おいえ〜。」
ベイビがハン〇に抱かれたまま俺に手招きをする。
「何だ。」
近付くと腕を伸ばし「らっこ！」と笑いかけてきた。
ハン〇の腕から抱き上げると嬉しそうな声を上げ、「らいちゅき〜！」と笑ったベイビ。
「あぁ、俺も大好きだ。」
小さな体をぎゅっと抱きしめた。
「パパ、にゃんにゃん。」
ある日、ベイビが子猫を抱いて連れて来た。
俺が周りを見渡すと、子猫より一回り体のでかい猫がこちらの様子を木陰から伺い見ている。
「おい、子猫を離してやれ。あそこに居る猫が多分母親だ。」
「ややっ！」
「嫌じゃねぇ。ほら、心配そうに見ているのが見えねぇのか？」
「んん〜。」
ベイビが腕の力を緩めると、子猫が勢いよく飛び出した。
「あっ、にゃんにゃ！っ、いちゃーいっ！！」
その瞬間...雷鳴と共に爆風が巻き起こった。
「...っ！！ベイビッ！！」
俺は瞬間的に立体機動で飛び、巻き込まれはしなかったが...目の前に...半身だけの巨人が現れ...。
「兵長！！！何の音です...か...。」
目の前の巨人を見て、俺の班の奴らは絶句した。
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作者名：KYRKR | 作成日時：2017年5月11日 1時
