１３話 ページ13
「うわぁぁぁん、あぁぁぁん！」
ペト〇の腕の中で大泣きしているベイビ。
俺が模型の巨人相手にトレーニングしているからだ。
模型巨人の森を往復して戻って来た俺の顔を見て、手足をばたつかせて更に大泣きする。
「ほら、来い。」
ベイビは俺の腕の中にくると泣き止んだ。
「兵長、私もトレーニングに行ってきます！」
そう言いながら走って行ったペト〇。
「あっ、あっ、あっ、あっ！」
空に手をかざしながらベイビが何かを話し出した。
「お前も上に行きたいのか？」
「おっ、ぷわー、あー。」
まるで行きたいと行ってるかの様な口振りのベイビ。
「連れて行ってやろう。」
ベイビをしっかり抱き締めるとアンカーを打ち、木の上に登ってやった。
「キャー！」
ベイビは小さな手をパチパチとして喜んでいる様に見える。
「そうか、嬉しいか。」
その様子を見て俺も笑顔になった。
キョロキョロとあちこちを見ては「キャッ...キャッ！」と笑い、手を叩く。
１歳３ヶ月になり、以前よりも表情が豊かになってきた。
嫌な事は全力で嫌がり、歯ブラシを見ると大泣きする。
好きな物を見つけると周りを見ずにヨチヨチと歩いていく。
ますます目が離せなくなったがその分、可愛さも倍増していた。
「兵長！危ないです！降りてきて下さい！」
下からペト〇が叫んでいる。
「...また今度、木に登ろうな。」
俺はベイビにそう話してから地上に降りていった。
その後昼食を食べ、ベイビは昼寝をしていた。
寝ている間にと俺は書類にペンを走らせていく。
ベイビの異変に気付いたのは、昼寝からなかなか目覚めてこないと気付いた時だった。
(なかなか起きねぇな？)
ベッドを覗きに行くとそこにはベイビより少し大きい女の子が寝ていた。
ベイビが着ていた洋服が所々破れた状態でその女の子の体にまとわれている。
「...ベイビ？」
おそるおそる声を掛けた。
ムクっと顔を上げ、ニッコリと笑った笑顔はベイビそのもの。
「パ...パ...。」
ベビーベッドの上にちょこんと座り、俺に腕を伸ばして抱っこをせがむ。
俺は少し大きくなったベイビを抱き上げるとハン〇の所に急いだ。
「おいっ！ハン〇、居るか！」
顕微鏡を覗きながら「いるよ〜。」と呑気な声で返事をしたハン〇。
「ベイビが、ベイビが大きくなった！」
「えっ！」
慌ててこっちを見た。
「その子...誰？」
大きくなったベイビを指さしながら聞いてくる。
「ベイビ...だ。少し大きくなっちゃいるが...。」
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作者名：KYRKR | 作成日時：2017年5月11日 1時
