7．封印と猫 ページ7
ドアの方を見やれば、そこには漏瑚と花御も帰ってきていて＿＿＿＿
漏瑚「帰ったぞ……ん？新しい顔が増えているな」
真人「漏瑚に花御！もう聞いてよ〜。
こいつ叢雲なんだけどさ、何でか人の姿になっちゃったんだよね」
花御「叢雲……なのですか？ずいぶん姿が変わりましたね……」
漏瑚と花御も叢雲の変化に驚いているようだった。
あんなに大きかった呪霊が人の姿になっていたらビックリするよね。
叢雲はというと、漏瑚と花御にも挨拶していた。
叢雲「漏瑚と花御、それに陀艮も。これからはこちらの姿でもよろしく頼む」
陀艮「ぶぅ〜」
漏瑚「変わったのは姿だけのようだな。まぁ、話せるようになったのは意思疎通がしやすくて助かる」
元の呪霊の姿や剣にも戻れるらしく、そこら辺は叢雲の自由らしかった。
A『……でも、真人がやったんじゃないならどうして姿が変わったんだろう？』
まだ疑問に思い首を傾げていれば、『これは私の推測だけど……』と夏油が話し始めた。
夏油「呪霊も成長して姿が変わることがある。
私の��呪霊操術��は取り込んだ呪霊の成長を止めてしまうが、Aは叢雲を調伏したからね。私から解放されてAと共に成長しているのかもしれない」
A『僕と一緒に……？確かに、叢雲にはよく任務にも同行してもらってたな』
叢雲「主殿とは魂を通じてずっと繋がっていた。成長という表現は正しいと思う」
夏油の推測は僕も合っていると感じた。
叢雲は特級相当、しかも古くから存在する呪霊だから成長の余地があったのかもしれない。
叢雲「……千年前に人間に封印され、力も弱まっていた所でこの男に取り込まれた。
後はもう使い潰され消える定めだと思っていたが……主殿のおかげで我は再び自由になれた。ならば、この命は主殿に捧げよう」
A『僕なんかで本当にいいの……？』
叢雲「あぁ。主殿が共に生きようと誘ってくれた時点で、我の心はもう決まっている」
ずっと叢雲に聞きたいことがあった。
せっかく夏油から自由になれたのにまた僕の元で縛られてないか、その事を不満に思ってないか。
初めて会った時とは違う、理知的な赤い瞳を見ているとそんな不安もなくなる。
A『そっか。ならこれからもよろしくね、叢雲』
そんな僕を、腕の中の猫は面白くなさそうにじっと見つめていた。
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作者名：シュリィ | 作成日時：2023年5月7日 20時
