40.ゲームと猫 ページ40
十月初めのある日____
僕は任務帰りに、真人から伝えられた新しいアジトに来ていた。
元はバーだったらしい、ドアを開ければ落ち着いた空間に出る。
真人「__あっ、きたきた!Aも一緒に遊ぼうよ!」
夏油「迷わずに来れたみたいだね。どうかな、私たちと一局やるのは」
A『真人に夏油……と、こっちの人は?』
後ろにバーカウンターが並ぶ部屋で。
真人と夏油、それに初めて見る男がテーブルを囲んでいた。テーブルの上には人生ゲームの盤面が並んでいる。
……今のところは真人がリードしてるみたい。
夏油「あぁ。Aとは初対面だったね、こいつは__」
脹相「俺は脹相、九相図の長兄だ。__お前が猫宮 Aか?」
夏油の言葉を遮って脹相と名乗った男が話しかけてくる。
脹相はソファから立ち上がると、僕の目の前までやって来た。
表情も暗いし僕より背が高いからちょっと怖いな……。
A『そうだけど……』
壊相「兄さん、その人が私たちを逃がしてくれたんですよ」
血塗「Aのにいちゃんも来たのかぁ??久しぶりだなぁ♪」
脹相に無言でじっと見つめられ戸惑っていると、別の部屋から壊相と血塗がやって来た。
脹相は弟たちの言葉に頷き__
脹相「お前が2人を救ってくれたのだと弟たちから聞いた。
____感謝する」ギュッ
A『へっ……!?』
何故か脹相に抱きしめられてしまう。
予想してなかった行動に僕も含めて皆んな固まり__
A『あ、あの……苦しいんだけど……』
脹相「兄弟は俺にとって命より大事なものなんだ、お前がいなければどうなっていたことか……」
壊相「兄さんに埋もれてAさん苦しそうですよ」
脹相「そうか?だが、これでも感謝し足りないくらいだ」
壊相のおかげで腕が緩むけど脹相は僕を抱きしめたままで。僕は早く解放して欲しいと目で訴えかけた。
壊相「それに、こちらの猫さんがご機嫌ななめに__」
真人「__脹相?俺のAに何抱きついちゃってんの??」
真人は笑顔を浮かべたまま、手に持っていたコマをべキッとへし折った。
飼い猫が怒っているみたいだけど脹相はそれに気づかず首をかしげ__
脹相「……?Aは物ではないだろう?」
真人「屁理屈を言わないでよね!!」
夏油「まぁまぁ……脹相も早くAを離してあげなよ」
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作者名:シュリィ | 作成日時:2023年5月7日 20時