44.猫と感情 真人side ページ44
Aに突き放すようなことを言ってしまった後。
俺はすぐにアジトを飛び出した。
Aが追いかけてくる気配がしたけど、今は顔を見られたくなくて……わざと振り切った。
漏瑚「真人、帰ったか……ッ!?お前その顔__!」
花御「__!?」
陀艮「ぶっ……!!」
地下水路に行こうと思ったけど。1人になると余計に意識してしまいそうで、気がついたら陀艮の領域に戻ってきていた。
呪霊仲間の3人は帰ってきた俺を見てギョッとし__
漏瑚「……どうして泣いておるのだ、真人」
真人「はっ……?俺、泣いてんの……?」
漏瑚に指摘され、自分の顔を触ってみれば。
確かに涙がポロポロと溢れ出ていた。
花御「何かあったのですか?」
陀艮「ぶぅ……」
心配そうに花御と陀艮が聞いてくる。
何とか涙を拭いながら、いつもの笑顔を浮かべようとするけど__
真人「ははっ、上手くいかないな。
……Aと喧嘩しちゃったんだ。と言っても、俺の一方的な八つ当たり」
俺自身、自分が泣いていたことに驚いた。
感情なんて魂の代謝にすぎない、そんなのに振り回される人間は哀れだなんて思ってたけど。
Aのことになると俺だって振り回されてしまう。
漏瑚「やはりA絡みのことか。で、お前はどうしたいのだ?」
真人「どうしたいってそりゃあ……このままは嫌だよ」
漏瑚に聞かれその場にしゃがみ込む。
これでAと気まずくなるのは絶対に嫌だし、今だって俺のことを探しているかもしれない。
真人「……落ち着いたしAを探してくる」
花御「待ってください。この時間ならもう高専に帰っているのでは?」
真人「でも、まだ俺を探してるかもしれないじゃん」
花御「前にAに渡した花__それに意識を繋げてみます。まだ寮の部屋にあるか分かりませんが……」
そう言って花御は術式を発動させる。
花御も成長したのか、遠くの植物に意識を繋げられるようになっていた。
しばらく沈黙が続いたあと__
花御「__Aと話してきましたよ。また明日会いに来るそうです」
真人「良かった。せっかくだし、俺たちの交流会も明日やろう。Aに家に帰るよう言っておいて。
__いいよね?漏瑚、花御、陀艮」
陀艮「ぶー!」
漏瑚「儂は構わんが……九相図と夏油はどうするのだ?」
真人「九相図は一応誘っとくよ」
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作者名:シュリィ | 作成日時:2023年5月7日 20時