34．影と猫 ページ34
指の呪霊「……っ！！」
恵が両手を前に突き出し、ある式神を呼びだそうと詠唱する。
でもそれは自爆技のはず……。急いで��崩壊��を発動しようとしたら＿＿
恵「＿＿＿＿やめだ！！」
急に両手を上げてそう言い放った。
頭から血を流してはいるけど、その瞳は何かが吹っ切れたように澄んでいて。
A『そうか、恵は今成長しようとしてるんだ……！』
恵「影の奥行きを全て吐き出す……具体的なアウトラインは後回しだ。
呪力を練ったそばから押し出していけ……」
恵は周囲のことなんか目に入らない様子でブツブツと何かを呟き。
そして、顔を上げれば＿＿
恵「やってやるよ！
領域展開＿＿＿＿��
領域内が影に覆われていく。
領域自体は不完全で、中途半端もいいところ。
だけど、この呪霊を倒せるほどの効果はある＿＿
恵「もっと自由に……！術式の解釈を広げろ！！」
影の領域内をたくさんの式神たちが埋め尽くす。
おびただしい数の��
影で出来た��玉犬��も群れをなして呪霊へと喰ってかかっていた。
A『今の恵は覚醒している。
邪魔にならないよう離れておいた方がいいよね』
再度、叢雲剣を召喚して足に雷光を纏う。
光と影は反発し合うから影の領域内でも滑るように移動できた。
僕は順平を抱いてその不完全な領域から抜け出す。
もし、完全に閉じた領域なら抜け出すことは難しかっただろうな。
指の呪霊「＿＿っ！！」
呪霊が全身に呪力を込め、周囲に向けて一気に放出し＿＿
指の呪霊「アハッ＿＿！」
一見、恵の領域が全て消え去ったかのように思えたけど＿＿
玉犬・渾「＿＿！」ﾄﾞｽｯ
指の呪霊「＿＿！？」
恵「渾の爪は交流会に現れた特級呪霊にも傷をつけた。
不意のオマエを貫くくらい……訳ないさ」
恵の玉犬・渾が鋭い爪で胸部にある呪霊の核を貫いた。
その攻撃がトドメとなり＿＿呪霊は灰となって消える。
恵「……疲れた」
A『恵！……お疲れ様、ゆっくり休んでね』
僕は呪力を使い果たした恵をそっと受け止める。
呪霊が消えれば結界も閉じていき、後には静かな川のせせらぎだけが残った。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シュリィ | 作成日時：2023年5月7日 20時
