【WT】白砂糖は何グラム？【短編集】

絶対的守護神【赤】 ページ18

「いってきます」

とんとんと爪先を2回叩いてから玄関のドアを開けた。空は曇一つない青空……だったら良かったんだけどなぁ。





私は所謂「見える」人間だった。最初に気づいたのは小学生の頃、祖父が亡くなった時のお葬式で死んだはずの祖父がふよふよ浮いているのを目撃してしまったときだった。
驚きのあまり声も出せず目を見開き口を開けたまま固まっている私に気づいたのだろうか。祖父が笑ってこちらに手を振ってから消えたのだった。


「お、おかーさん！おじいちゃんが！！おじいちゃんがいた！！！！！」


その後うちは昔からそういうのが見える家系らしいことを知った。そして私はそういう力が特別強いらしい。所謂ホイホイってやつ？そんな私を心配して昔おばあちゃんが御守りを作ってくれた。今も持ち歩いているが、稀にそれが効かないくらいヤバイのがいる時もある。


「(うーん、こいつはちょっとヤバめかも)」


家の傍に黒くどんよりしたものが見える。朝から気分は急降下。ただでさえ今日苦手な数学のテストがあるってのに。


「ｧ…ｧ……ﾖｺｾ、」


静かに通り過ぎたかったのだけれど、あちらはそうもいかないらしい。ゆらゆら動いていた黒い影は明確な意思をもって私の方へと飛び掛ってきた。


「ﾖｺｾｪｪｪｪｪｯ！！！！」


……はずだったのだが。

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