検索窓
今日:8 hit、昨日:56 hit、合計:97,478 hit

ページ32

.




「……!きんちゃ、やだ、やだ…死んじゃ、っ」


私を庇ってきんちゃんが攻撃を受けてしまったと思ってぽろぽろと涙が零れる。

や、きんちゃん…きんちゃん!


「……大丈夫だよ、A」


いやいやと首を振ることしか出来なかった私の頭をいつものように優しく撫でるきんちゃん。人狼の攻撃を受けたはずの彼は、


「な、なんでお前………まさか」

「あは、バレちゃった」


かすり傷一つさえも負っていなかった。


「じゃ、さよなら。人狼さん」


パァン、と矢が人狼の心臓を貫いた。ドサリと人狼は床に倒れ伏す。


きんちゃんは笑っていた。鋭い八重歯に赤く染まった瞳。それで私は察してしまった。


「ふぅ…やっと片付いた」

「きんちゃん、吸血鬼…だったの?」

「うん、そうだよ。村人も人狼も全員消すのに手間取っちゃったけど…やっとAと2人きりになれた」


するりと私の頬を愛おしそうに撫でるきんちゃん。いつもなら安心できるはずのその手が今は怖い。


「じゃあ、お母さんも、お父さんも……お友達も、みんな」

「ま、人狼に倒してもらった分もあるけどね」


お父さんとお母さんが何者かに襲われて死んでしまった時。仲の良かったあの子が帰ってこなかった時。きんちゃんはずっとそばにいて支えてくれたのに。ぜんぶ、ぜんぶきんちゃんがやった事だったの…?


「ね、A。好きだよ。ずっと2人きりでいようね」

「きんちゃ…、」

「痛くしないようにするから…ちょっとだけ血もらっていい?」


ぎゅっと私を抱き締めて、蕩けるような甘い声で囁く。

たくさんの人を殺めた彼を決して許してはいけないはずなのに。こんなの、駄目なのに…っ。


馬鹿な私はどうしても彼を拒むことができなかった。

そんなことより僕を見て!【赤】→←うそつきだぁれ【青】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (96 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
393人がお気に入り
設定タグ:WT , 白尾 , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» コメントありがとうございます。励みになります。 (2023年4月16日 20時) (レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす(プロフ) - 最近とても更新してくれて嬉しいです!これからも頑張ってください!! (2023年4月14日 6時) (レス) id: 06d1bec9da (このIDを非表示/違反報告)
ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» こちらが明記してなかったのですみません…。そのつもりでした。ただマフィアパロはいつか書きたいなとは思っていますのでもし時間ができれば頑張りますね。コメントありがとうございました。 (2023年2月18日 22時) (レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす(プロフ) - ぽんこつらーめんさん» 何処かにかいていましたか!?そしたら申し訳無いです…。 (2023年2月18日 16時) (レス) id: 255513ac99 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» コメントありがとうございます。折角リクエスト頂いた所申し訳無いのですが一旦リクエストは1人1回までとさせて頂いております。申し訳ございません🙇‍ (2023年2月18日 15時) (レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽんこつらーめん | 作成日時:2022年12月31日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。