【黒バス】出会いはバニラの香りがいたしまして、チョコ派の私は少し口を尖らせます。Ninth

尖らせ２４９ ページ11

「…なぁなぁ、なんか話とかしねぇの？特に黒子！」


「僕、ですか。」


「いやいや、話とかの以前にまだ走るんですかこれ。というかどこに向かって…」









どんどん景色が横へ横へと流れていく。

それを横目に風になびく髪を押さえれば、自転車をこぐ高尾さんが言った。

どこか愉快そうに、せかすようにも聞えるそれに黒子さんは黙り込んでしまう。




私はそんな彼を見つつ無意識に肩を落とした。









「(…どうせなら、このまま黒子さんと…)」









・









そう思うのはきっと私が子供だから。

周りの事を見ようとはせず自分の事だけ、









「……このまま、逃げ出せちゃえばいいのに。」


「………、」









風や車の音に掻き消えそうな声。

高尾さんは聞こえてすらないのか口笛を吹く後ろ姿だけが見える。

黒子さんだってきっと…









・









あ、


え。









目が、あった。









・









「じゃあ、逃げてみますか？僕と。」


「え…、」









そういったときの彼の目は、

今までにない程まっすぐだった。

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