第７４曲 ページ34
「本当に美味いな……彩ノ瀬と木咲も食べてみると良い」
『「え？」』
氷鷹くんは今までクッキーに向けていた視線を
そんな私達へと移すと、手元のクッキーの袋を
差し出す…。
思いも寄らなかった氷鷹くんの行動にあんずち
ゃんと一緒になって固まった。
「あ、それ良いね！」
「うんうん！とっても美味しいから♪」
『でも…これは皆への差し入れだし…』
「私達は食べられないよ」
氷鷹くんの提案に明星くんと遊木くんも良い考
えだと頷く。
しかし、せっかくの好意ではあるけれど皆の差
し入れ用に作ったものである訳で……
流石に私達は食べられないと首を横に振るとそ
れに関わらず氷鷹くんは袋を私達へ差し出した。
「言っただろう、"皆"で食べて同罪なんだ。それならばお前達も食べることになる」
『でも……』
それでも何故か頷けずに渋ると、氷鷹くんは痺
れを切らしたように遊木くんに袋を預けると、
私の腕を引いて引き寄せると片腕で抱きとめる…。
『氷鷹く…んんっ！？』
そのまま袋からクッキーを１枚取り出すと無理
矢理私の口へクッキーを入れた。
「これで同罪だ」
『…っ……はい……』
口へ入れられたクッキーに食べざるを得ず……
口に入れられたクッキーを慌てて掴んで齧ると、氷鷹くんが満足そうに微笑む。
至近距離でまるで、王子様のように微笑む氷鷹
くんに顔に熱が集まるのが分かった。
「うわぁ……」
「あれで無意識なんだから…」
「罪深い男だよね〜」
「む……何の話だ？」
「ホッケ〜が王子様みたいだって話！」
「何…今俺は王子らしく振舞っていたのか？…彩ノ瀬、今のをもう一度頼む」
『ごめん……無理……』
「じゃあ、俺はあんずとやってみ」
「うわぁ！本当に美味しい！桜雪ちゃんお菓子作り上手だね！！」
無意識に行動してしまう氷鷹くんに周りでその
様子を見ていた明星くん達が呆れたように見つ
める中、私はそれどころでは無い訳で……
もはやクッキーの味なんて分かる筈もなく…
必死に赤くなった顔を手で仰いで冷ましている
と、明星くんの発言に反応した氷鷹くんが再び
私の腕を引く。
しかし、流石に恥ずかしいのでお断りすると、
隣りではあんずちゃんに同じことをしようと明
星くんが動きだしたところですかさずクッキー
を食べて必死に私に感想を捲し立てた。
(動きが早すぎて残像が見えたのはきっと私だけじゃない…)
こうして、久しぶりの賑やかなお昼休みは過ぎ
ていった＿。
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朔櫻 実桜(プロフ) - *神*威*さん» まだ秘密ですが……恐らく"あの人"です(笑） (2017年10月29日 22時) (
レス) id: cb01b25ab1 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - *神*威*さん» ありがとうございます！！面白いと言っていただけるとは恐縮です！どちらかというと男主を書くことが多いので女主の話を書くことは慣れないのですが…ドキドキすると言っていただけてとても嬉しいです！更新これからも頑張ります！ (2017年10月29日 22時) (レス) id: cb01b25ab1 (このIDを非表示/違反報告)
*神*威* - 視線の正体って、“あの人”ですよね？(笑) (2017年10月28日 23時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
*神*威* - とても面白くて、読んでいてドキドキします！これからも更新頑張ってください(^○^) (2017年10月28日 23時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
オワタ - 朔櫻 実桜さん» 楽しみにしてます 真緒くんへ、ならば小一時間話そうではないか(＾言＾) (2017年2月19日 18時) (レス) id: 8f905062d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2016年6月29日 1時
