何も持っていない私に【蓬菊】 (ページ8)

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7話ページ8

Aside

健くんと暮らし始めて3週間が経ったある日。

芝「無理してない？本当に今日でいいの？」

玄関で健くんに聞かれた。

『本当に今日で大丈夫です…』

今日、私はアナタシアの練習に連れて行ってもらう。

あの朝、健くんにアナタシアの練習に来ないかと誘われた時…最初はすごくすごく悩んだ。

行ったとしても私は踊るわけじゃないから隅で見ているだけだし、初対面の人が沢山いる場所に行って過呼吸になったりしたら迷惑かけちゃうし…

でも、健くんが踊っている姿を見たいなって思った。

今日は久しぶりに体調もいいから…大丈夫なはず！！

長距離を歩くことができない私のために、わざわざタクシーを呼んでくれていたみたい。

なんか申し訳ないな……

芝「申し訳ないって思った？w」

『えっ…』

芝「顔に全部出てるよww私がやりたくてやってる事だから全然気にしなくて大丈夫！！」

そう言ってまた頭を撫でてくる健くん…

健くんはよく頭を撫でて優しい言葉をかけてくれる。雨の日に私が過呼吸になった時も、大抵の人は焦るのに健くんはそっと寄り添って声をかけ続けてくれた。

優しい人……なんだと思う。

その優しさは本物だといいな…

芝「よし、ここで降りまーす！！」

健くんがタクシーのお会計をして、私は健くんの後を追ってスタジオと思われる建物に入った。

芝「靴持ってきた？？」
『あ、はい。一応…』

ほとんど行ってない中学校の時の体育館靴…(笑)

芝「ちょっと他のメンバーに声掛けてくるから、Aちゃんここで待機してもらってもいい？？」

『わかりました…！』

健くんは優しく微笑んで、奥の扉に消えていった。

扉が開いていたほんの少しの間、スタジオの中から楽しそうな誰かの声が聞こえてきた。

メンバーって健くん以外に5人…いるんだっけ？多いな…

ちょっと緊張してきちゃったかも

-------------ｷﾘﾄﾘｾﾝ--------------
☆が欲しいです…