声だけじゃもったいない

【２３】 ページ24

(深澤side)




あのラジオの収録から３日が経った。
なんで俺はあの時、Aちゃんと連絡先を交換しておかなかったんだろう。めちゃくちゃ後悔中。
それさえしておけば…また誘うLINEのひとつも入れられたかも知んねぇのに。

なーんてことを、それスノの楽屋でぼーーっと考えてるわけです。





岩「ふっか…お前、どうかしたか」

深「んー？なにが？」

岩「いや…なんか…顔が…」

深「イケメン？」

岩「ばーか、そーゆーのはいいんだよ。なんか悩みあったら相談しろよ、シンメだろ」

深「ん、ありがとね」





あーあー、眉をハの字にしちゃって。心配してくれてんのよね、ほんとよく気がつくわ、うちのリーダーは。



…Aちゃんには、こうやって心配してくれる人、いんのかな。
親さんとか家族の話も聞かなかったな。まぁそんな話するほど仲良くなってねぇってのはあるけど。





佐「おっはよーん！」

阿「おはよう」

楠「おはようございます」





と、ぐるぐる悩んでたらうちの頭脳と特攻隊長と姫が現れた。





深「はよ」

佐「おいおいなんだ深澤、その顔は！」

深「イケメン？」

佐「そーゆーのいいんだよ！

　ｺｿｯ くすちゃんが話あるって。手が空いたら声かけてやって」

深「ｺｿｯ え？」

佐「ｺｿｯ ruiのこと、だって」






Aちゃんのこと？なに？なんのこと？

手なんていつでもあいてる。

なに、なんかわかったの。





深「くす、ちゃん」

楠「あ、おはようございます。うわ！なんですかその顔！」

深「アンニュイな俺もイケメンでしょ？」

向「そのくだり何回やんねん！」






何回って…だってみんな訊くし。
俺、今日そんなすごい顔してんの？






深「話し、って」

楠「ああ！

　ｺｿｯ 今日の夜時間あります？」

深「ある、けど」

楠「ご飯行きましょ。お話したいことが山程あります」

深「う、うん」






珍しい、くすちゃんから誘ってくれるなんて。
いつもは俺等から誘うばかりで、マネージャーとしての立場をしっかり理解している彼女は自分からか誘うことなんて全くないのに。


それほどまでに、重大な話ってこと？





もうその日の収録はドキドキしっぱなしで。
まぁプロだから顔には出さないように切り替えたけど…




夜が。待ち遠しかった。

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