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触れる手 ページ37

〜伏見☆Side〜

座り込んで、俯いて、
震えてるAに、俺は手を放すことが出来なかった。

放すどころか、俺は気づけば無意識に
Aに触れている手に力を込めていた。

伏見「・・・」

こんな時、どうすればいいのかわからない。

恐怖に怯える、目の前の女に
――俺はどんな言葉をかければいい?

あ「っ・・・」

小さく震えながら、下を向いて声を押し殺すAに、
俺は静かに息を吐いた。

伏見「我慢すんな」

一言、そう言うと、ずっと下を向いていたAが俺の方を向いた。

その目には、今にも零れ落ちそうなほど涙が溜まっていて。

伏見「・・・泣きたきゃ泣け」

そう言った瞬間、Aの瞳から一滴の涙が流れた。

あ「・・・!」

ハッとして、Aが慌てたように
涙を拭こうとして伸ばした手を、俺は素早く掴んだ。

あ「伏見さ・・・」

震える声で俺を呼んだ後、触れているAの手から力が抜けた。

あ「・・・っ」

堪えきれなくなったのか、
Aは遠慮がちに声を押し殺しながら、静かに涙を流した。

あ「っ、う・・・」

もっと、ガキみたいに大声で泣けばいいのに。

今までみたいに、もう1人じゃねぇんだから、
俺にすがりついて泣き叫べよ。

そんな泣き方じゃ、全然すっきりしねぇだろ。

伏見「・・・」

そんな言葉は、俺の口からは出なかった。

女の扱い方なんて、わかるはずがない。

俺のこの選択が、正解だったのかもわからない。

けど、1つだけ思ったのは

――後で1人で泣かれるよりは、ずっといい。

☆ ☆ ☆

数時間後――

秋山と道明寺は、Aを探して廊下を歩いていた。

秋山「Aさん、一体どこに行ったんだろうか・・・・」

道明寺「伏見さんとの能力練習はとっくに終わってる時間だけど・・・」

心配そうな顔で考え込みながら、2人が廊下の角を曲がった。

その直後。

道明寺「あっ」

秋山「・・・伏見さん」

視線の先に伏見を見つけ、2人が駆け寄る。

そして2人は同時に気づいた。

伏見の背に乗っている、Aに。

道明寺「A・・・!?」

ぐったりと伏見の背に乗り掛かっているAを見て、
2人は顔色を変える。

秋山「っ、一体どうしたんですか!?」

道明寺「怪我でも――」

伏見「騒ぐな」

その鋭い一喝に、2人は黙り込んだ。

伏見「・・・疲れて眠てるだけだ。今日はこのまま休ませる」

そう言い残して去って行く伏見を、
2人はただ唖然と見送るしかなかった。

立ち塞がる壁→←練習開始



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設定タグ:アニメK , セプター4 , 伏見猿比古   
作品ジャンル:アニメ
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アクア(プロフ) - 沙夜さん» ありがとうございます! その嬉しいお言葉が、頑張れる源です!(。-`ω-) (2016年3月12日 0時) (レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
沙夜 - 楽しく読ませてもらっています。これからも更新頑張ってください!! (2016年3月6日 23時) (レス) id: 236ae9874e (このIDを非表示/違反報告)
アクア(プロフ) - **感謝リクエスト募集終了** (2016年1月31日 0時) (レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
アクア(プロフ) - 十六夜キツネさん» ありがとうございます!! これからも頑張ります(´ω`*) (2016年1月24日 19時) (レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
十六夜キツネ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております!お気に入り登録者100人突破おめでとうございます!これからも応援していますヽ(´∀‘。)ノ (2016年1月19日 10時) (レス) id: cee5abaccc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アクア | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/furanandberulove/entrylist.html  
作成日時:2016年1月1日 0時

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