Episode4 -6 ページ25
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笑うと顔に刻まれるしわが優しそうな印象を受ける。
「さてと、あたしはまだるっこしいのが嫌いでね」
そう前置きすると、おばあさんはテーブルの上にある小瓶を私の方に差し出した。
「これはねがいごとキャンディと言って、なんでも願いをかなえてくれる魔法のキャンディなんだよ」
「魔法の……キャンディ…？」
「そうさ。どんな願いだって叶えてくれる。ただし、生者を殺すことと、死者をよみがえらせることはできないがね」
ずいぶんと突拍子のない話をされている。
頭ではわかっていたけれど、私の目はキャンディに引き寄せられて離れない。
「たまぁにあるのさ、あんたみたいな迷える子羊がこの通りに迷い込んでくることが」
「迷える子羊？」
「あんたのことさ。この通りは普通には迷い込めないようになってるんだ、魔法でね。だけど、魔法の力がどうしても必要な時だけ、この通りに迷い込む。そしてこの店にたどり着くのさ」
「どうしても魔法が必要なとき……」
つまり今の私にはどうしても魔法が必要、ということだろうか。
「それじゃあ私は、このキャンディで魔法が使えるんですか？」
真剣な顔でおばあさんに聞き返すと、おばあさんは少し驚いたように目を開いて、やがておかしそうに「アッハッハ」と笑い始めた。
「なんだ、魔法を信じるのかい？今どきの子にしちゃ珍しいね」
自分で魔法だといったのに、おばあさんは楽し気に口角を上げながらそう言った。
「だって、そういうものがあると思ったほうがワクワクするでしょ」
私は一瞬だけ考えて、そう返事をした。
その昔、魔法使いが出てくるお話を読んで「本当に魔法はあるかな？」と言った私に、「あると思ったほうがワクワクするでしょ」と言った子がいたのを思い出したからだった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
