Episode13 -3 ページ39
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「……すごく、翔らしいです」
「そうだね、俺もそう思うよ」
相葉さんと話すこの空間が心地悪くないのはたぶん、互いに願っているのが翔の幸せだからに違いないのだ。
「そんな翔ちゃんがさ、君の隣にいる資格がないだなんて、そんなことあると思う？」
「……ありません、そんなの。誰にも文句は言わせません」
例えばこの先翔と一緒にいることで私が何かつらい目に合うとしたら、翔はきっと私を遠ざけようとするだろう。
けれどそんなの、私には関係ない。
翔と一緒にいたいからいる。
それを邪魔することなんて、たとえ翔でも許さない。
このまま私を一人残してどこか遠くへ逃げて終わりだなんて、そんなことは認めない。
「瀬那さん、心当たりはどれくらいある」
「……実は、そんなにないんです」
少し言いづらいけれど私がそう言えば相葉さんが落胆した顔をした。
「そっか…」
「すみません。一緒にいる時間が長かったので、翔が一人の時にどこにいたのかはあまり知らなくて。思いつくのは実家のある街の堤防と、学校帰りによく立ち寄った公園と…それくらいです。学校には近づかないと思いますし…」
本当に私たちはいつも一緒だった。
幼いころから常に一緒に遊んでいたし、学校もいつも同じだったし。
中学と高校で離れていても翔は私の通学路の途中で待っていて家までは一緒に帰ることが多かった。
宿題で分からないことがあれば翔は私に聞きに来たし、その逆もあった。
帰り道にまっすぐ帰らずドーナツ屋さんに寄り道して買ったドーナツを公園で食べたりもしていた。
そのころから翔は放課後にたまにいなくなるようになって、戻ってきた翔はいつもどこかを怪我していた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年2月6日 21時
