ねがいごとキャンディ ○2○ 《ars/s.s/0125》 (ページ3)

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Episode8 -3 ページ3

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その毎日が唐突に終わりを告げたのは、現在の会社に私の就職が決まった少し後のことだった。

父が死んだと母から聞いた。

私はと言うと母に押し切られる形で一人暮らしを始めたばかりで、まだ部屋の片付けも満足に済んでいないような時だった。

通り魔だったらしい。

面倒なあれこれは全て母がやってくれていたのだけど、母から聞いたところによると犯人はまだ未成年の少年だったらしく、名前が出てくることはないんだそうだ。

気にならなかったわけじゃないけど、母がこれでもう心配することは何もないわねって嬉しそうに笑っていたから、もう忘れましょうって穏やかに言うから、言われた通りに忘れたことにした。

全部なかったことにして、私と母はそれぞれの暮らしを始めた。

私は今の会社に就職して、同期の二宮くんや多江ちゃんと出会った。

母はそのあと体を悪くして入院して、私が後輩の松本くんに出会ったのと同じころに父を追いかけるように旅立っていった。

それが去年の話。

この間の法事で悟くんのお母さんが言っていた「ご両親のこと」とはこのことだ。

けれど私はなぜか、泣くこともなかった。

なにかがいつも私のそばに寄り添ってくれているような気がして、私は一人だなんて悲観することもなかった。

そんなことを突然思い出したのは、私が幼いころの家族の夢を見ていたからだった。

小学校の帰りのようで、私と両親と、それからもう一人。

男の子が一緒に歩いている夢だった。

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