ねがいごとキャンディ ○2○ 《ars/s.s/0125》 (ページ2)

今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:138,726 hit

Episode8 -2 ページ2

.

私も母も、父が人殺しだとはこれっぽっちも思っていなかった。

父だって同じ気持ちだったはずだった。

法律上、父の罪は過失致死ということになるけれど、父の行いで命が一つなくなってしまったことは事実で、それは第三者から見れば人殺しに他ならなかった。

私は学校でいじめられる…なんてことは意外にもなく、そんなことよりもとにかく関わり合いにならないようにと生徒にも教師にも避けられた。

とにかく避けられ続けただけだったので、私は無事に高校を卒業できたけど、大学に進学する気力もお金もなくて、しばらくはフラフラとバイトをして回った。

働けなくなってしまった父の代わりに母もあちこちに働きに出て、逆に父だけが家に引きこもるようになった。

まぁ、重苦しい話を続けるのも嫌なので間を丸っと割愛するけど、結論だけ言えば父は母に暴力を振るうようになった。

私がバイトを転々としていたころだった。

そのころの父は私に暴力をふるうことはなかったし、母への暴力もそこまでひどいものではなかったのだけど。

一度貼られた人殺しのレッテルはなかなか消えなかった。

ここでも細かいことは割愛するけど、私が就活を始めたころ、父は初めて私に手を上げた。

母がもう父を殺すしかないなんて物騒なことを言っているのを何度か聞いた。

私は成人してたから家を出てもよかったんだけど、母を一人置いていくわけにもいかず二人で傷を抱える日々を過ごした。

.