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無 2 ページ42

Noside



ーーーーーーーーーーーーー数日後。



太「辛いっ!」



未だ少し幼さの残る太宰の声が咖喱屋に響く。



隠し味に溶岩でも入ってるの之?

等と店主に問う太宰を見、織田作は首を傾げる。



織「そうか?」




このやり取りは何度も行われたもので、店主にとっても既に見慣れた光景と化していた。



然しその光景を見ていて店主は思い出す。



店主「嗚呼!そう言えば、彼の子が…」



そう、彼の少女が


織田作之助に伝えたい事があるから、



次に来た時に呼んでくれ、と言ったのだ。



織田作が再び首を傾げる。



織「…彼奴が何か言っていたのか?」



其れは至って普通の反応だった。



今、呼んでくるよーーーーーーーーーーーーーーーー



店主と共に連れられて来た其の少女。



太宰は「?」と疑問の色に顔を染め、


織田作は少しだけ驚いていた。



何かあったのか?


そう問おうとした彼を遮る様に少女は口を開いた。



貴「…あなたはだぁれ?」



少女の口調は初対面の時よりもずっと幼くなっている様に感じた。



そしてその問いに答えるべきだったのは太宰以外に居なかった。



太宰の困惑した表情に気付いた織田作は太宰に小さく耳打ちした。



織「…頼む、太宰。」



そんな織田作の耳打ちに少し肩を竦めてみせる太宰。



仕方無いなぁ、そう言う様に。



太「…私は太宰、治。」



其の答えに少女はニッコリと笑ってみせた。



その表情は出会った時からは想像も出来ない程に純粋無垢な物だった。



貴「…んー、と…!

おさむ!おさむって呼ぶね!」



少女の見た目は太宰と何ら変わりない様に見えた。



唯、言動からは太宰よりずっと歳下の様に思えた。



微笑んだ儘の少女に太宰は鎌を掛けようと作られた笑顔を浮かべる。



太「では、君の名前は?



僕が教えたのだから、…教えてくれるよね、当然?」



少し脅しの様に聞こえてしまうのは彼の職業の所為だと言う事にしておこう。



然しその問いに少女は少し考える素振りを見せた。



太宰は一瞬の内に凡百(あらゆる)可能性を頭の中に巡らせた。



一つ、記憶喪失。



一つ、忘れた振り。



一つ、元より名前が付けられていない。



却説、何れだい?



そう言わずとも、太宰の顔は遊技盤を見つめるかの様な顔をした。



然し少女の答えは太宰の弾き出した答えの中の
全てに置いて当てはまっている様で、当てはまっていない様な答えだった。

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花コム( ゚Д゚) - 柏村葬さん:へぇ!そ、そうだったんですね…漫画持ってないので知りませんでした…申し訳無いです… (2019年3月5日 8時) (レス) id: bbf7a999fb (このIDを非表示/違反報告)
柏村葬(プロフ) - 狂16ですが、漫画が原作なので漫画を先にした方が良いと思います。漫画とアニメでは全然違いますから。 (2019年2月25日 0時) (レス) id: 67a0056d03 (このIDを非表示/違反報告)
桜匁 - 作品、拝見しましたー! 文章にから場面の様子がしっかりと分かり、素敵な小説だと思います! ヤンデレ中也さん…ですか… なんかいいですね!!← これからもお体に気をつけて更新頑張ってくださいね。応援しています!(*≧∀≦*) (2018年12月8日 20時) (レス) id: 58c26fa576 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花コム( ゚Д゚) | 作成日時:2018年9月10日 12時

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