針仕事 拾 問い詰められる ページ10
「仕立て屋ァ」
「中原様。今日は如何いったご用件で?」
「新しいシャツを頼む。汚れが取れなくなった」
私よりも小柄だが、私よりも年上らしい彼は中原様と云う。良くお召し物を汚す方なので、ご贔屓にしていただいている。
「今日は何枚お買い上げでしょうか?」
「十枚」
「相変わらずにございますね」
「此処のシャツは着心地が良いんだよ。贔屓にしてやってんだ」
「ありがとうございます。今後もご贔屓に」
糊の利いたシャツを袋に入れて渡すとき、中原様に腕を掴まれる。
たすきがけをしているので、腕を隠すものは何も無い。一応布を巻いておいたが、中原様に外されてしまった。
「この痣、如何した」
「少々気性の荒いお客様がいらっしゃいまして……」
「何処の奴だ」
「お客様の個人情報になってしまいますので」
「お前の商売道具をなくしかけたみたいだがな」
掴む手に力を込められると、まだ感知していないのか、痺れるような痛みが走る。
「いたっ、痛いです」
「誰だか答えろ」
「……店先で話すのも何ですし、奥にどうぞ」
看板に「奥で作業しております」と掛けて、中原様を奥の座敷に招き入れる。
「相変わらずこの家は古いな」
「物持ちが良いのですよ。曽祖父の代から住んでおりますので」
「手前、年寄り臭いって云われないか?」
中原様に向き直る形で座り、中原様に問われる。
「で、何処の誰だ」
「芥川と仰る方でございます。異能持ちのようで…此の痣はその異能で……」
「芥川……!?」
中原様が反応するや否や、畳に押さえ込まれた。
針仕事 拾壱 重力的拷問 side*ポートマフィア→←針仕事 玖 一人 side*ポートマフィア
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アズサ - コメント多くてすみませんじゃ! (2019年10月4日 17時) (レス) id: a3eaf9827b (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 中也呼び (2019年9月5日 9時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 雨ニモマケズ^言^ (2019年9月5日 9時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 龍之介ドS (2019年9月5日 8時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 頑張ってくださいね! (2019年9月5日 8時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
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