針仕事 陸 治療 ページ6
客間に通し、お茶を芥川さんの前に置いて向き直る。
「芥川様……でよろしかったですよね?」
「貴様は」
「玉乃衣と申します。この店の四代目にございます」
以後お見知りおきを。と付け足すと、変な奴だと返されました……。
「芥川さんは、一体如何して私の店の前にいらしたんですか?」
「答える義理は無い」
「そうですか」
一礼して、救急箱を持ってくる。芥川さんの口元が切れて血が滲んでいたからだ。
「芥川さん、傷を診てもよろしいですか?」
「余計なお世話だ」
「駄目です。化膿したら痕が残ってしまいます」
「五月蝿い」
はぁ…此方としては、貴方の方が五月蝿いのですが…止むを得ませんね。
有無を云わさず、脱脂綿に消毒液を染み込ませ、傷口に近付ける。
「!?」
「すぐに終わりますので」
手早く消毒を済ませ、終わりましたと云うと今にも私を絞めんばかりの【羅生門】に囲まれておりました。
「あぁ、貴方は異能者でしたか」
「貴様、覚悟は出来ているのか」
「大袈裟ですね。私は店の前に倒れていらっしゃった貴方の傷を治療したまでです」
「ポートマフィアに関わった者の末路を知ってか?」
「あぁ…新聞で読みましたよ」
未だに威嚇体勢の【羅生門】の一つが私の腕に絡みつく。
「ここで私を如何する御心算ですか?」
「無論―……」
みし、と【羅生門】の絡みついた腕が軋んだ音をあげる。
「腕は困りますね。私の商売道具なので、ご遠慮願います」
「貴様に選択肢など無い」
静かな空間に、私の骨の軋む音と蠢く芥川さんの【羅生門】の気配だけが支配する。
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アズサ - コメント多くてすみませんじゃ! (2019年10月4日 17時) (レス) id: a3eaf9827b (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 中也呼び (2019年9月5日 9時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 雨ニモマケズ^言^ (2019年9月5日 9時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 龍之介ドS (2019年9月5日 8時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 頑張ってくださいね! (2019年9月5日 8時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
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