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針仕事 肆拾肆 見られたくない顔side*ポートマフィア ページ44

布団に横になる仕立て屋。いつもは簪でまとめている髪を緩く束ねて横に流している。よく褒められると嬉しそうに云っていたな……
絹糸のようだと褒められる事も多いそうだ。確かに、上質な絹糸と変わらないほど光沢を持ち柔らかい。

「ごめんください」
「っやべ……鍵かけてなかった」

居留守を使うも鍵をかけてないから仕方なく俺が出た。外套と帽子を取ってからな!

「あの、昨日ここの店主の方に傘を借りまして……店主はいらっしゃいますか?」
「今……その、仕上がったらしく届けに……俺は留守番で」
「そうでしたか。直接会ってお礼がしたかったのですが……」
「遅くなるとは云っていたが……」

あまり話すと俺が従業員ではない事がバレる……

「仕方ないですね……では、店主に渡しておいてください。今度は是非仕立ての依頼とともにお邪魔させていただきます」
「伝えておきます」

踵を返して去っていく客を見送ってから「本日臨時休業」の張り紙をして鍵を閉めた。

「お帰りなさい」
「……寝てろって云っただろ」
「ごめんなさい。でも……ふふ、聞こえちゃいました」

先刻のやり取りを聞かれていたらしい。俺の顔に熱が集まるのがわかった。

「なかなかお上手でしたよ。中原様」
「っっっいい加減に寝ろ!!」

布団を乱暴に頭まで被せたのは、朱に染まった顔を見られたくないからだ。

「っふ……中原様」
「なんだよ」
「一人だと寂しいんです。あの、私が眠るまで傍に居ていただけませんか?」
「居てやるから、さっさと寝ろよ」

せがまれて仕方なく片手の手袋を外して握らせてやった。熱のある仕立て屋の手は細く柔い。
……って、俺は何考えてんだ!!

「中原様」
「……んだよ」
「ありがとうございます」
「…………さっさと治せ」

俺の気を知ってか知らずか、仕立て屋が柔らかく微笑んで眠りについた。
俺は仕立て屋が規則正しい寝息を立てても、離れられなかった。





雪兎さんのリクエストで中也さんでしたー!
不器用ながらに看病されたい……(作者は莫迦だから風邪引かない)
またのリクエストお待ちしております!!

針仕事 肆拾伍 意外とside*探偵社→←針仕事 肆拾参 莫迦!抜けてんだよ!side*ポートマフィア



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アズサ - コメント多くてすみませんじゃ! (2019年10月4日 17時) (レス) id: a3eaf9827b (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 中也呼び (2019年9月5日 9時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 雨ニモマケズ^言^ (2019年9月5日 9時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 龍之介ドS (2019年9月5日 8時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 頑張ってくださいね! (2019年9月5日 8時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅鴇ベニトキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2015年9月9日 1時

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