【文豪スレイドッグス】巷で噂の仕立て屋は

針仕事　肆拾壱　連行side*ポートマフィア ページ41

「甘いものは好きか？」
「…………へ？」

有無を確認する前に縛り上げ、車に放り込むように乗り込む。運転手に行き先を告げ、【羅生門】から抜け出そうとする玉乃衣をさらに縛り上げる。スモークのある車だが、玉乃衣の視界までも拘束した。

「ぁっ!?」
「安心しろ。殺しはしない」
「んっ……あ、りゅ、ぅ……」
「なんだ」

微かに開いた口に【羅生門】を捻じ込んだのは数日前の事。蹂躙した口内は熟れた無花果よりも魅力的だった。



「ん゛っ」
「手荒な真似をして悪かったな」
「まったく……です」

ベッドに放り投げながら【羅生門】から解放する。潰れた蛙のような声を上げたが、一言詫びると出来てしまった痣を擦りながら玉乃衣は苦笑した。何故怒らないのかが不思議だ。

「それで……あの、芥川様、先ほどの意味は一体……？」
「龍之介と呼べと云った筈だ」
「あ、も、申し訳ありません！そうでしたね」
「呼べ」
「りゅ、龍之介様？」

…………悪くない。

「だが、気に入らない」
「と、申されますと……？」
「貴様はいつもその格好だが、それ以外に持っていないのか？」
「仕事着なのですよ。龍之介様こそ」
「僕は別だ」
「ずるいです」

帰宅する時は格好は違うぞ。四六時中同じ格好だと思うな。

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