針仕事 卅 大人びた子供side*探偵社 ページ30
「布はこれで全部か?」
「……はい」
調べ終わったらしい布は見ていて判る高級そうな布に目が眩んだんだろう。捕まった強盗集団は全くの素人ばかりだった。
「よかった……傷も汚れもなくて……」
「見て判るのか?」
「はい。あぁよかった……お客様をお待たせさせなくて済みそうです!」
「……すまない、少し聞きたいことがある。二人だけにしてくれないか」
警察を追い払い、改めて向き直る。
「……あの?」
「やせ我慢はやめろ」
「……やせ我慢なんて……」
「怖かったのなら、怖かったと云えばいい」
そっと表情を伺うと、大粒の涙が溢れていたのでギョッとしてしまった。
「私っ……わたしっ……」
「一人しか居なかったからな……遅くなってすまない」
ブンブンと首を横に振る従業員。違うらしい。
「助けてくれて……ありがとうございました……!」
「……ほら、顔拭け」
余程怖かったらしい。しばらくは店を閉めたらどうだと尋ねたが、それはできないと答えた。明日までに仕上げなければならない着物と背広があるらしい。
「あの……お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか……?」
「国木田独歩だ。武装探偵社の社員だと云えばわかるか?」
「はい。福沢様が仕切っていると……申し遅れました。私、玉乃衣Aと申します。この仕立て屋の四代目にございます」
「四代目……!?」
社長の話だと、俺と同い年か年上だと思ったが……一体いくつだこの四代目は!?
「十九にございます」
「!?」
「……お気になさらず。良くあることですので……」
太宰よりも数倍大人びた雰囲気を纏った玉乃衣と名乗った四代目。確か……社長のお気に入り……?
「本当……なんとお礼を申したらいいか……」
「仕事だからな。そんな顔しないでくれ」
「でしたら……もし何かのお仕事でお召し物が駄目になった時は是非、私に仕立てさせていただけませんか?お礼ですので、料金はいただきません」
「そこまでしてもらう義理はないのだが……社長のお気に入りの腕前は耳にしていたからな。是非頼みたい」
「はい!」
そう云って笑う玉乃衣の目に、涙は無かった。
煙管さんのリクエストで国木田さんでした!
話を纏めきれずに長くなって申し訳ないです……!(廿捌には一行しか出てないからノーカンです)
またリクエストどうぞ!
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アズサ - コメント多くてすみませんじゃ! (2019年10月4日 17時) (レス) id: a3eaf9827b (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 中也呼び (2019年9月5日 9時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 雨ニモマケズ^言^ (2019年9月5日 9時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 龍之介ドS (2019年9月5日 8時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
アズサ - 頑張ってくださいね! (2019年9月5日 8時) (レス) id: cd9a959149 (このIDを非表示/違反報告)
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