【文豪スレイドッグス】巷で噂の仕立て屋は (ページ24)

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針仕事　廿肆　福沢様のお孫さんページ24

「玉乃衣さん、玉乃衣さんっ！」
「ふわ!?あ、敦さん!?」
「大丈夫ですか……？与謝野さんに治療されたって聞きましたけど……」
「されてませんよ。強いて云えば、ご飯食べさせられましたね。今度こんなことしたらーとは仰ってましたけど……」

思い出しただけで鳥肌が……と思い出していると、敦さんの後ろに居た可愛らしい女の子がひょっこりと顔を覗かせる。

「あら、敦さん、そちらのお嬢様は……妹様？ですか？」
「あ、あぁ、どちらかと云うと……社長のお孫さん……と云ったところでしょうか……」
「？そうなんですか！お嬢様、お名前をお伺いしてもよろしいですか？」
「泉鏡花。社長の孫……」

確かに、表情はそっくりですね！

「……名前」
「？私の、でございますか？」
「私だけ教えるの、ずるい」
「失礼致しました。玉乃衣Aと申します。この仕立て屋の四代目にございます」
「仕立て屋……」
「はい。和装洋装なんでも仕立て上げますので、機会があれば是非」

少しだけ、鏡花お嬢様の顔が輝いたような……？私の気のせいにございましょうか？

「そうです！敦さん、鏡花お嬢様、今日これから何かご予定はございますでしょうか？」
「？僕は大丈夫ですけど」
「私も」
「鏡花お嬢様のお着物、随分と着古されているようなので……私のお古で申し訳ないのですが、一時の間、着替えておいていただけませんでしょうか？」

見て解ります。鏡花お嬢様のお着物はところどころにほつれや破れがありました。このままではお着物が駄目になってしまうのが早まってしまいます！

「如何する？鏡花ちゃん」
「……着る」
「ありがとうございます！」

中にどうぞ、と招き、私の幼少期に着ていた着物を探しに少し席をはずさせていただきました。