【HQ】一目惚れを信じるかい？Ⅱ〈黒尾〉 (ページ5)

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こんな高熱を出すのは何年ぶりだろうか･･･

恐らく7、8年ぶりくらいだろう

そんなことを考えたせいか、最後に熱を出した時のことを思い出してしまう

母『A、病院に行ってあげたいけどお母さん今日は大事な仕事が入ってるの･･･』

『ううん、仕方ないよ。

私は大丈夫だから、お仕事頑張って？』

あぁ、これは小学校3年生ぐらいだろうか

この頃から父親も母親も仕事が忙しくなってきて一人の時間が増えていた時だ

母『A･･･本当にごめんね。

貴方はとても大人だから私たちは甘えてしまうみたい･･･

本当は傍にいてつきっきりで看病してあげたいのに』

「ママ、私は大丈夫だから

･･･お仕事いってらっしゃい！」

その頃の私は熱を出して調子が悪いのに心配させまいと作り笑いで母親にそう言った

母はその挨拶に答えてその部屋を去った

･

私は覚えてる。

このとき、本当はどれだけ辛くて寂しかったか

私はこうなると1人で布団に埋まって泣いてたんだ

･

～ﾉｰside～

黒尾「傍に、なぁ･･･」

黒尾はタオルと氷水を持ち部屋に向かいながら先程の電話を思い出していた

A 母『私はAが風で寝込んでる時、いつも仕事が忙しくて傍にいてあげられなかったの

それでどれだけAが寂しい思いをして来たのか･･･

だから、出来るだけ傍にいていてあげて』

と、Aの母親の言葉が頭の中に再び流れる

そんなこんなで黒尾は自分の部屋へ来た

黒尾「Aー？大丈夫かー」

そう言い扉を開けて部屋に入った

「うん、大丈夫･･･」

黒尾「ちゃんと横になってろよ

冷えピタと違ってタオルだからな落ちるぞ」

「んー、」

返事をするのも辛くなってきたのか、言葉数が減ってきた

黒尾「あと、風邪の時ほどしっかりと食べなきゃなんねーから30分くらい待っててくれ

簡単にお粥作ってやる」

「え、待って･･･

黒尾、朝練あるでしょ？」

黒尾「今日1日くらい大丈夫だ、部員にちゃんと断っておく」

「でも、大変だし、それに食欲湧かないし･･･」

黒尾「だから言ったろ？風邪の時ほど食べるのが大事だって」

「うん･･･」

黒尾「寝て待ってていいから、しっかり食べるんだぞ」

そう言い残し黒尾は台所へ向かった