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こちらの病室で眠る彼もまた眠っているせいで顔立ちが強調されまるで人形のような美しさ恐怖を煽る未知の感情を俺に与えた。
手術をしたこともあり彼の付近には山田よりも多くの機材が近くに置かれていた。

今日は何度この残酷な夢から覚めたいと願ったことだろうか。

非日常的な状況を突きつけられ、それを拭うのは見慣れた彼らの寝顔だけ。

「大ちゃんはさ、いのちゃんのこと聞いた?」
「うん。知念から聞いた。そっちは?山田のこと」
「俺は藪から聞いてる。知念も知ってるんでしょ?」
「なんとなくは知ってる。」

そっか、と呟くヒカの表情からは普段の明るさは感じられなかった。
俺らにしては珍しく続かない話がこの現状の全てを表しているようだった。
気丈に振る舞う年長じゃ二人であるがそこには確かに俺たちと同じ感情があることがわかる。

「高木と裕翔は?来てないの?」
「まだ仕事だってさ。」

そう教えてくれたのは薮くんであった。
それもそうである。彼は俺たちに連絡を入れた張本人。各々のことは何となく把握しているのだろう。

「有岡さん、そろそろ・・・。」

ひょこっとドアから顔を覗かせ申し訳なさそうに語ったのは俺のマネージャー。
忘れていた。完全に頭から抜け落ちていた。
そういえば俺は仕事の合間に抜け出しているのだ。戻らなければならない。
怪訝そうに俺を見つめる三人の状況を説明すれば頑張ってね、と帰ってくる。
あのまましばらく病室に残りたかった気持ちもあるが仕事にいかなければならないのもまた現実。
この後の収録がバラエティ番組であることを思い出し自分のこの落ち込んだ気持ちをどうにか改善できないか、と車の中で模索していた。


収録は滞りなく進んだ。
メンバーが悲惨な事に会いそれを知っていながら行なったものにしては上出来であろう。
番組で見るVTR自体は面白く俺の心を擽ってくれたが笑う度に脳裏に先ほど見た二人の寝顔がよぎり何ともいえない感情に襲われ続けてた。

俺は今、収録が終わってすぐに局を飛び出し病院に向かっている。
先刻、自身の携帯に薮くんから連絡があり、二人の容態がはっきりとしたとの報告が入っていた。
きっとあの人たちは俺に直接説明するまで病院から出ないことだろう。
彼らだって疲れているはずなのに、だ。
少しでも早く休んでほしくて、もしかしたら二人の容態がそれほど悪くないことを信じて、俺は足早に病院へと向かうのだった。

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米山瑞稀(プロフ) - なにわ男子 (3月26日 20時) (レス) id: a504ed4635 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠璃 | 作成日時:2024年2月14日 20時

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