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今日、教えられた情報をいのちゃんと山田を抜いたグループラインに飛ばす。
悪意を持って二人を省いているとかではなくて、できるだけ嫌な内容が目に止まりにくくするための俺が勝手に提案した苦肉の策であった。

抜け落ちたのはいのちゃんに関する事と事故にあった事。それ以外は以前と変わらず存在していた。
事故の方は、自分がドジ踏んでこけて頭をぶつけて病院に運ばれたことになっているらしい。
外傷も目立ったものはなく明日には退院できるし仕事復帰も本人の体調次第では順次OKとのこと。

なんとなくは想定していたが、いのちゃんのことや事故の話をすると本人は強い頭痛を訴え眠るように気絶してしまうようだった。
失った記憶を取り戻す事例も複数あるが本人にそれなりの負荷がかかるため慎重に行うべきだとも言われた。

改めて第三者からの真っ当な意見を言われると足に力が入りにくくもなった。
今、こうしてあの部屋を出て病室に座っているのはここまで俺を支えて連れてきてくれたヒカのおかげだろう。

医師から言われたことを重要な点を繋ぎ合わせ短く纏めてメッセージを飛ばした時もスマホの画面が滲んで見えたような気がした。
本当に泣きたかったのは俺じゃないだろうに。

俺の傍ですやすやと眠る山田の頭を一つ撫で滲む視界を遮ってくれたのは俺より数センチ高いチャーミングな八重歯の彼だった。


目が覚めたのは見知らぬ部屋の中でふかふかのベットの上だった。
窓から溢れる日光が翌日になり朝を迎えたことを俺に告げていた。

「あ、大ちゃんおはよう」
「お、おはよう」

ドアからひょこっと顔を覗かせたのはおそらく家主であるヒカ。
奥から流れる匂いが俺のお腹を擽ぐる。

「大ちゃん昨日寝ちゃって、そのまま置いて帰るのもアレだったからうち連れてきちゃった。朝ごはんできてるけど食べる?」
「まじか。ごめん。朝ごはんは食べる。」

そうくると思った、と笑いリビングまで案内される。
出されたご飯は言うまでもなくどれもこれも絶品料理であった。

不意に、スマホが震えてそちらに視線を移せば今日から山田が復帰するとの連絡が入っていた。
それに伴い、昨日俺が送ったメールにも既読がついたかを確認する。
五つの既読がしっかりとついていて連絡事項が伝わったことがわかった。

安堵と、謎の感情。
きっとそれらは俺の不安を煽っていたのだろう。

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米山瑞稀(プロフ) - なにわ男子 (3月26日 20時) (レス) id: a504ed4635 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠璃 | 作成日時:2024年2月14日 20時

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