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全員が揃ったのは月が自身の存在を主張し、その独壇場となることが許される頃であった。
各々仕事やら何やらはあったが唯一直近で揃えるのがこの日しかなかったために多くの物が体に鞭打ってくることとなった。
そりゃ身体的には辛いかもしれないが大切な人のためであればどうということはない。
会えるだけでアドレナリン、ドバドバであるから問題ない。
山田や伊野尾が出演予定だった仕事に急遽代打で出向いていた知念、有岡からはその疲労の色がありありと瞳から読み取れた。
しかし、病室に入り、伊野尾と会話した途端にその雰囲気は消え心の底から笑い楽しんでいるように見受けられたことから前述の俺の理論はあながち間違いではないと言い切れるだろう。

そんなことはさておき、現在、全員での病室移動を開催していた。
まだ点滴付きの移動に慣れないのか少し辿々しい足取りの伊野尾のペースに合わせて計七人が行動する為威圧感があっただろう。

エレベーターないでもこっちは狭いだの、いのちゃんにぶつかるから騒がないで!など会話の応酬で、思わず知念にどう考えても論点はそこじゃない、とツッコミかけた。

もちろん、会話を適度に楽しんだのもエレベーター内だけで廊下では当たり前の如く静かにしていたのでそこは安心してほしい。

一階下の病室に着くまで時間は要したが何の問題もなく到着。
そのままノックと共に中に入った。

まだ空いているカーテンを見て月が綺麗だな、とありきたりな感想を抱いたのは許してほしい。
誰と言わずともそれを閉め、電気をつけ伊野尾を1番動きやすく点滴の起きやすい位置に座らせそれぞれがベット周囲に陣取った。

そこから言葉が続くことはしばらくなくて、誰もが山田のことをただ見ることしかできなかっただろう。

ただ寝ているだけのように思えるその寝顔は苦しくも、楽しくもなさそうで、無である。というのが1番しっくりときた。

沈黙に耐えかねたのかふと話を振り始める伊野尾。

その内容は仕事はどうであったのか、とか、今日は何があったとかの報告会のようであった。
しかし、そこには確かに普段の俺たちの会話がそこにはあってこの状況でも俺たちは俺たちであることを再認識できたと思う。

急に会話が止まったのはそれからわずか数分後。
話が盛り上がりまだまだこれから、というときにピタリ。と止まったのだ。
誰もが一言も発せずただ一点を見つめる。

その先にはゆっくりと持ち上がる山田の瞼があった。

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米山瑞稀(プロフ) - なにわ男子 (3月26日 20時) (レス) id: a504ed4635 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠璃 | 作成日時:2024年2月14日 20時

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