手を繋ごう ページ37
奈良坂サイド
お粥を食べて、薬を飲んだAさんはソファの上で眠りについていた。
『申し訳ないからもうお家に帰るわね』と言うAさんを三輪が強引に引き留め、ソファに寝かせたのだ。
流石に風邪をひいているだけはあって、すぐに眠りについた。
あと問題なのは。
「ど、どうすればいいんだ、Aさん、さっき熱を測ったら39度もあったんだぞ！き、救急車を」
ソファの周りであたふたする三輪だ。
「秀次、ちょっと落ち着けって。」
「これが落ち着いていられるか！お前Aさんが心配じゃないのか！？39度だぞ！？肺炎にでもなったりしたら…」
「心配だけど、大丈夫だから、な？お前、子どもの誕生を待つ父親みたいになってるから」
たしかに三輪は出産を待つ父親のごとく、そわそわと歩き回っていた。
「落ち着いてください三輪先輩！」
「とりあえず座ったらどうだ。」
章平と俺がそう言うと、渋々と言った感じで三輪はソファの側で腰を下ろした。
「…三輪、看病っていうのは何も医療的な何かをする必要はないんだ。ただこうして手でも握ってやればAさんも安心するんじゃないか？」
そう言って俺はAさんの手を握った。
小さな手は、俺の手にすっぽりとおさまって、それでいて柔らかい。
「…なるほど。分かった、手を握ればいいんだな。じゃあ俺が握るからお前はその手を離せ」
睨み気味でそう言われ、俺は手を離そうとする。
が、Aさんきがっちり掴まれて、離れなかった。
「おい奈良坂」
「ち、ちょっと待ってくれ、離れないんだ。ち、違う、俺が故意に握ってるわけではない！Aさんが離してくれなくて」
三輪顔がどんどん曇っていく。
本当に全然離れないんだ。
俺がそうしてるわけじゃない。
「な、奈良坂先輩は手が冷たいから気持ちいいんじゃないですか？」
「たったしかになぁ。ほら落ち着けって秀次」
「……俺は手が冷たいのか…」
少しショックだ。
「い、いえ、あ、ほら手が冷たい人は心があたたかいと言うじゃありませんか！きっと奈良坂先輩はその分心が温かい人なんですよ！」
「そうなのか。」
俺は繋ぐ手を眺めた。
「そこを動くな奈良坂。ぶった切ってやる。トリガーo」
「うおおおおい！待て秀次！ステイステイ！奈良坂は生身だから！」
「うるさいぞお前たち。Aさんが寝ているだろう。」
「奈良坂はちょっと黙ろうか！」
部屋は騒がしかったが、Aさんは気にせず眠っていた。
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ろいど(プロフ) - 一気読みさせて頂きました！！更新楽しみに待ってます！！ (2022年3月4日 21時) (
レス) @page48 id: 5682104901 (このIDを非表示/違反報告)
理玖 - 東隊や鈴鳴第一と絡ませて欲しいです。 (2021年12月16日 21時) (レス) @page48 id: 72df48888f (このIDを非表示/違反報告)
化粧した亀 - 〜でしょか。ではなくでしょうか。でした。誤字りました。（笑）すみません (2021年11月8日 22時) (レス) id: f6208bd07c (このIDを非表示/違反報告)
化粧した亀 - 全て読ませていただき、すごく面白かったので即高評価させて頂きました。リクで緑川くんと、那須隊との絡みをお願いしてもよろしいでしょか。 (2021年11月8日 22時) (レス) id: f6208bd07c (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - そらさん» そうおっしゃっていただけて嬉しい限りです。リクエストありがとうございました。1ヶ月以上もお待たせしてしまって申し訳ありませんでした。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年10月28日 11時) (レス) id: 6141eb3956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シシマチ | 作成日時：2021年5月27日 14時
