夜明けの空に。2 (ページ34)

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『あっ！ちょっ！そうだった！ちょい待ってて！』

Aちゃんは急いで自分の部屋に戻って、

またすぐに出てきた。

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その手には重そうな本が何冊も重ねられていた。

『秘密兵器！！これ！』

「うわ、何これ、レシピ本？」

『違うー。

胸腔穿刺と中心静脈確保、気管挿管！！

このノートに全部まとめられてる。』

本かと思ってたけど、

よく見るとそれは分厚いノートだった。

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「何これ…Aちゃんが書いたの？」

『そ、医大の時にね〜。

字汚いとかいうクレームは受け付けないからね、

目凝らして読みな！！』

Aちゃんはそう言って笑うと、

そそくさと部屋に戻っていく。

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「..えっ？これ貸してくれんの？」

Aちゃんはドアの隙間から顔を出して、

にこりと笑って頷いた。

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『命の恩人だからね〜！

私、まだまだ桜庭くんと一緒にナイト・ドクターとして働きたい。

だから、..応援してるから。』

グッドサインを出して、Aちゃんは帰っていった。

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目頭の奥がジンジンと熱くなるのを感じた。

"頑張りたい"

そんな気持ちがさらに大きくなっていく。

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「ありがとう、Aちゃん！」

sideなし

救急隊員「２０代男性一人暮らし。

自宅で倒れているのを訪ねてきた友人が発見したそうです。」

今日もあさひ海浜病院救命救急センターには患者が運ばれてくる。

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成瀬「アシドーシスが進行してます。かなり危険な状態です。」

朝倉「発症から時間が経ちすぎてる。」

本郷「朝倉は気管挿管。Aはエコーを頼む。」

朝倉「はい。」

『はい！』

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朝倉「…声門が見えません。」

その時、心電計が警告音を鳴らす。

本郷「…外科的に気道確保するしかないな。」

『輪状甲状靭帯切開ですか？』

本郷「頼む。」

『はい！』

成瀬「オペセット準備して。」

舞子「はい。」

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近くでは桜庭が必死にメモを取っている。

本郷「頸部切開します。メス。」

看護師「はい。」

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本郷、成瀬、朝倉、Aの手によって

スムーズに輪状甲状靭帯切開が行われていった。