戦国武将？ラッパー？美形なのは分かったのでお帰りください

【過去に囚われないでください】 ページ27

俺は、女嫌いだ。

女は弱く脆く、すぐに死ぬ


愛した伊勢姫が自害してから、俺は女を遠ざけるようになった


家臣たちに跡継ぎがどうこう心配されるほど。



『あ、上杉さん』


「…何だ」


『特に何も。一人で武道場にいる上杉さんが見えたので来ただけです』


「そうか」


Aは、不思議な雰囲気の女だ


見た目は華奢な娘で、まとう空気はただ者ではない


『そう言えば、上杉さんって女嫌いで戦狂いなんですよね？猿飛さんが言ってました』


佐助…余計なことを


『どうしてそんなに戦が好きなんです？』


「理由などない、ただ強者と戦いたい。それだけの話だ」


『女性嫌いの件に関係は無いんですか？』


「無い」


『本心ですか？』


「どういう意味だ」


『言葉の通りですよ。…伊勢姫が亡くなった悲しみを、戦によって埋めているのではないかな、と』


「なぜ貴様が…


『伊勢姫を知っているのか。現代では割りと有名なんですよ。伊勢姫と上杉謙信の悲恋』


普段は押さえられる筈が、その時は怒りを露にしてしまった


「貴様に何が分かる！愛する者を失う苦しみが！愛する者の声が聞けぬことが！愛する者に二度と会えないことが！お前に分かるか！」


気付けば刀を突きつけていた。



『殺せばいいじゃないですか』


＿気に入らないなら、殺せば？



挑発するような声に、俺は息を呑んだ。


目の前の女の目には、俺は映っていない。そこにあるのは、真っ暗な闇

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