戦国武将？ラッパー？美形なのは分かったのでお帰りください

【貴方はもう、十分強い】 ページ24

「行ってくれるか、竹千代」


「はい、父上」


三河は弱く貧しく、攻められては多くが死んだ。


父と母のために、強くあら無ければならない。
人質だと罵られても、虐げられようとも


死は常に隣り合わせで、気を抜けばすぐに死ぬような場所に俺はいた


俺は、こんなところで立ち止まれない。
弱い奴はすぐに死ぬ、強くなければいけない。


三河を取り返したら領地を広げて、もっと強く、強くならなければ


臣下の死は、将たる者の弱さの証だ。


こんなところで、死んでたまるか




『あ、徳川さんだ』


「……A」


『あ、名前覚えてたんですね〜』


「どういう意味？」


『だって徳川さん、周りに興味無さそうなので』


「…」


『それは、自分を知られたくないからですよね』


「っ…な


『どうしてって顔してますね』


仮面を貼り付けたように笑う彼女を睨み付けた。


『分かりますよ、見ていれば。自分を知られたくない、近付くな。自分の心に足を踏み入れるな、必要以上に近付くなって』


「…アンタに何がわかんの」


『少なくとも、自分の空間に入ってきて欲しくないんだなってことくらいは分かります。僕も同じですから』


「いつもヘラヘラしてるくせに？」


『そうですね』


そう言って笑う彼女が酷く気に入らない。


『そうしないと、壊れそうだったんですよ』


「は？」


『だって、誰も愛してくれないから』


"笑ってないと、誰も僕を必要としないんだもの"

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