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黒Side


「ねぇ康二くん。…戻ろ?」

「…」

「俺は…、ちゃんと翔太くんに認めてもらいたいな。」

「…うん」

「康二くんの大切な人だから。だから…時間が掛かってでもちゃんと話し合いたい。」

「…めめ」


その言葉に嘘はない。

眉を下げて困った顔をしている康二くんだって
同じ気持ちなの、俺はちゃんと分かってる。

康二くんのことなら何だって分かる。


「年下に気ぃ遣わせて、ほんまに困った兄ちゃんやな。ごめんな?めめ」

「んーん」

「俺も、しょっぴーに認めてほしい。あわよくばめめと舘さんと四人でデートだってしたい」

「うん」

「でも俺…しょっぴーに酷いこと言うたしなぁ…。許してくれるやろうか…」


悲しそうな顔をした康二くんの手を
大丈夫だよと伝わるように握る。


「あれが本音じゃないってことくらい、翔太くんだって分かってるはずだよ」

「そうやとえぇけど…」

「大丈夫だよ康二くん。」

「ん」

「だって翔太くんは康二くんの自慢のお兄ちゃんでしょ?」


向こうが俺に嫉妬している以上に
俺もいつも翔太くんに嫉妬しているけど。

それでも康二くんの大切な人だから。

だからこそ分かってほしいし
分かってくれるって俺は信じてる。


「…戻ろ?」

「うん」


もう一度康二くんと手を繋ぎ、来た道を戻る。


「…良かった。」

「ん?」

「めめが恋人で」

「へ?///」

「こんなに強い恋人がいて誇らしいよ。」

「ただ康二くんが大好きなだけだもん」

「俺も。また好きになった、めめのこと。」


何てことないようにさらりと言われた言葉に
思わず康二くんを見たけど、
康二くんは一切こっちを見ていない。

意識して言ったわけではないその言葉に、
俺は何回ときめけば気が済むのかなぁ。


「しょっぴーに何言われても絶対俺が守るからな」

「うん」

「怖かったらすぐ言うてな?」

「うん」

「……行こか。」

「うん。」


―ガチャ


扉を開けると一気に集まった視線に思わず足が竦む…

でも康二くんが繋いでくれた手が心強くて
何とか部屋に入ることが出来た。


「こ…じ……」


舘さんの腕の中で力無く
康二くんの名前を呼ぶ翔太くんに苦しくなった。

この人は一体どれだけの涙を流していたんだろう…





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真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 楽しみにしてます!ありがとうございます! (2020年12月13日 19時) (レス) id: 471bec5651 (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - テンプレ返信ごめんなさい… (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - トマト鍋さん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 17時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月13日 19時

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