梶井基次郎×白い部屋 ページ9
真っ白な部屋の中で、僕は目を覚ました。
「……何処だ、此処……」
壁も天井も真っ白な部屋。
ぽつんと置かれた机の上には、包丁、鋏、剃刀、麻縄等々。至極見慣れたモノたち。
天井を見上げると、スピーカーが取り付けられていた。其処からは絶えず声が聴こえてくる。
――贖え……認めろ……償え……――
「一体どうしろって云うんだ?煩いな」
早く出てしまおう。
僕はドアへ向かい、ドアノブを捻った。しかし扉は閉じたまま。
軽く舌打ちしたのち、懐から檸檬爆弾を取り出す。
「えい」
僕の檸檬爆弾は、僕の考えていた通りに爆発した。
だが、扉はびくともしなかった。傷一つどころか、煤すらもついていない。
「……何だよ、これ」
僕が部屋の材質について頭を捻っている間にも、声は聞こえてきた。
――反省しろ……認めろ……――
「ああもう!黙れ!」
スピーカーに向かって檸檬爆弾を投げつけてやった。
爽やかな爆発音が鳴り響く……
――償え……反省しろ……――
半ば予想通りの結果であった。
忌々しいスピーカーは、僕と同様無傷だった。
「何で……何で僕がこんな処に閉じ込められなきゃならないんだ!」
絶対に、脱出してやる。
そして此処から出たら、僕を閉じ込めた奴で楽しい楽しい実験をするんだ!
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エリジャ(プロフ) - キューブさん、こんにちは。この度はイベント参加ありがとうございます!!!これ、文ストのですよね?すごく面白かったです!!更新頑張ってくださいね!改めましてありがとうございましたっ!! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キューブ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年4月6日 9時