文豪館〜文字の間に間に〜【文スト】【謎惑館】

続・西瓜割り部屋 ページ4

「はーい！じゃ、いくよー！」


目隠しにひのきのぼう装備の、西瓜割りに適したスタイル。
俺は何故、西瓜割りに付き合っているのだろうか？


「右ー！とか左ー！とかって指示してねー！あ、私から見て右とか左ね！かわいいー！とか云ってくれてもいいよー！」


「判った！まずは真っ直ぐ！」


「はーい！」


真っ直ぐ、と云いつつ左に逸れている。


「もう少し右に！」


「はーい、右！そーいや、何で西瓜割りなんだろね？夏なんだし、メロン割りとか完熟マンゴー割りとかでも良いのに！」


「マンゴーやメロンのような高級品を叩き割るなぞ出来るか！左によれ！」


「左ねー！最近はさー、ハネデューメロンとか輸入マンゴーとか、西瓜より安いのもあるのにー！経費の面からしたら西瓜割りのが高くつくよ！」


「西瓜は大きくて割りやすい！それに、昔から夏に海で割るのは西瓜と相場が決まっているだろうが！あと、右に！」


「よーし右！昔から決まってるなら仕方ないね！」


「そこだ！」


「よっしゃ！せーのッ……！」


突如、彼女が空高く飛び上がる。


「何ッ！？お前、一体何を……！？」


「玉葱戦士奥義・流星墜とし！」


彼女が青い波動を纏い、西瓜目掛けて棒を突き立てる！


「おりゃアッ！！！！」


ひのきのぼうは正確に西瓜を貫いた。
数フレームの間をおいて、閃光が走る。


「……！！」


「ふー、楽しかった！」


閃光が消えたとき、後に残されたのは赤い液体を体から滴らせる女性のみ……


「西瓜相手に本気を出しすぎだ……」


「あ、ロックバスターの方が良かった？でもなー、流星墜としは必中だけど、他の技は目隠し状態だと外れちゃうしなー」


「そ、そうか……」


「でもまあ、楽しかったよ！ありがと！」


……何だったんだ。

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