19私の正体 ページ19
あの奇妙な日の翌日。
『そんでその場から私は全力疾走したってわけ』
私は阿笠博士の家を訪ねていた。
そしたらびっくり。
「何でお前の惚気話を俺は聞かされているんだ」
『え、話聞いてたの?』
沖矢昴こと赤井秀一がいるじゃありませんか。
わざわざ哀ちゃんもコナンくんもいない平日の昼間を狙ったのに、これじゃあ変声機貰えないんだけど…。
あれがないと安室透のこと探れない。
しかも博士相手に語ってたはずがどっかいっちゃったし。
あぁでもちょうどいいのかも。
『聞いてたなら話は早いわ。ねぇ秀くん。あの安室さんとかいう人のこと教えちゃったりしてくれない?』
「お前はすぐなんでも知りたがるな」
『…だって赤井Aのことがバレてるんだよ?』
私は結構重大なことを報告したつもりでした。
ほんとに。
なのに、なんで優雅に紅茶飲むのやめないのこの人。
沖矢昴の外見じゃなかったら似合わないわ…。
「気にするな。安室くんは簡単にお前のことをペラペラ人に喋ったりするようなやつじゃない」
『気にするわ!こっちはなんか訳わかんないけど、銃口突きつけられたあげく恋人ごっこしてるんだよ?!』
「楽しそうでなによりじゃな」
『楽しくない!』
おっとあまりの興奮のあまりに、椅子から立ち上がってしまった…。
いけない。いけない。
落ち着け私。大人だろ?
そんな私を見てぎょっとした彼が何やら思惑にふけだす。
でたよ。赤井秀一1人脳内劇場。
私にも教えろその中身。
そんなこんな結論に辿り着いたのか私を見据えると
「…恋しいか?」
顎に手をやりながら言った。
『何が恋しいのよ?』
「Federal Bureau of Investigation。略してFBIがだ」
そう言われてハッとする。
外国人顔負けのネイティブな発音に気を取られていたら、よく知った名前が聞こえた。
発音いいなんてムカつくよねー。
FBI。
それは私がもといた場所。
私が一般人ではなかった証。
「お前にはあの事故の日から平穏な生活を与えていたが…戻りたいのか?」
『そんなことしたら私はまた組織に入れられるんでしょ?』
「あぁ、十中八九」
そんなのごめんだ。
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作者名:星香 | 作成日時:2019年5月8日 17時