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14行き先不明だけど出発進行 ページ14

「時間通りだな」








あれから一夜あけた。
いや、言うならあけてしまったという表現が正しい。








朝なんか来なくていいって生まれて初めて思った昨夜。あれからなにがあったかといいますと




























目の前の男の手足になることを了承したあと。








「今夜中に盗聴器の回収をしておけ、それと明日朝10時に僕の家の前にいるように」






『は?』







多分私の口は見事にぽかんとあいてる。







そりゃそうでしょ。
なんでこの人が仕掛けた盗聴器を私が回収するの?
絶対、君がした方が早いよ。









「聞こえなかったのか?」







『聞こえてるよ』







それだけ聞くと自分の部屋に帰って行く彼。









まさかの要件人間かよ。







こっちの有無聞かずに帰っちゃうの?
そりゃ従うしかないの分かってるけど、イェスかノーかぐらい確認しろよ!!









というのが昨日の流れであり、現在私はよく分からないまま車の助手席に押し込まれました。







誘拐でしょうか?
はたまたこのまま東京湾にでも沈められるのでしょうか?







でもこれだけは言えます。
今日が私の命日です。









「さっきから随分と大人しいな。昨日の威勢のいいお嬢さんはどこへ行った?」









『じゃあ、暴れたいんで扉のロック外してくれます?』









「断る」









それだけ言ってハンドルを右にきる。









うん、こいつの敬語どこいったよ?
まさかブラックホールあたりまで吹っ飛んで消滅したのかしら?









行き先も告げずに車を運転する彼の横顔を横目に、やけに都市部に近づいてることを察する。







この人、私をどこに連れていく気だよ。









「そんな不安そうな顔するな。お前を悪いようにする気は無い」









こちらの表情を読み取ったのかこちらを見て言う。








教習所で習わなかったのか?この人。









『前見て運転してくれるかな?』









「分かってますよ。でも、心配しなくても僕は安全運転第一で、事故をしたことなんて……ないですよ?」









今の間は何?!









やだこの人まさか事故の常習犯なの?









『降りていいですか?』









「ダメですよ?…何を想像したかだいたい分かりますが、よくいるんですよ。ことある事に車をボロボロにする知り合いが」









そゆことね。









良かった…。
冥土の旅にドライブしてなくて。

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作者名:星香 | 作成日時:2019年5月8日 17時

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