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鈴さんと ページ17

私はお庭を見せて貰いながらつくづく素敵な家だと思った。
「あれはカモミール、興奮を静めてくれるの。あれは、ローズマリーでお料理なんなにも使うわ。」
と鈴さんは片端から名前や効果を教えてくれた。そして私は或る木に目を留めた。
「彼処の桃みたいな花が咲いている木は何ですか?」
「夾竹桃って云うのよ。毒が在るから気を付けてね、と云っても口に入れなければ大丈夫よ。」と悪戯っ子のように笑った。暫くして湯来さん夫婦が着た。

とても仲がよさそうでは在ったけれど鈴さんに子供の事をずっと云われているようで其の日密かに泣いていたのを聞いた。

そして昼食を取ろうとした時、鈴さんの計らいで同席させて貰うことになった。誰も反対しなかったのはきっと少しギクシャクした空気を変える為だったのかも知れない。
「武装探偵社ッて矢ッ張り危ないことは多んですか?」と義忠さんが私に訊いた。
「さあ、他の所を知らないので私はよく分かりませんね。まだ入ったばかりですし。国木田さんどうですか?」
「嗚呼、そもそも本分は切った張ったの荒事だからな。」
「そりゃあ凄い。ところで皆さん最初から此のお仕事に?」と大朗さんが云った。
「妾は元から医者だからねェ。国木田は数学の教師だよねェ。」
「私は学生ですよ。国木田さんが数学の先生って云うのはなんか納得です。太宰さんは?」
「私は…当ててごらんよ。」
「作家?」違うよ。
「モデル」違うけど照れるね。
「私立探偵、なんてどうです?」と大朗さんが云った。確かに在りそう。
「違います。」
私はさっきからにこにこと笑って居いる太宰さんをみても思った。絶対まともな仕事じゃない。
「じゃあ…」と私が口を開いたとき
「止めておけ上橋。どうせ当たらん、何せ賞金が掛かっているからな。」と国木田さんに遮られてしまった。
「そうなんですか!何か特殊な仕事とかしてそうだったんだけどな〜。諦めます。」
「そう云えば上橋さんはどちらの学校に?」
とまた、大朗さんが云った。
あれから私の通っていた学校を調べたが此方には存在していなかった。だから本当の事を云う訳にはいかない。
「ふ、普通の公立高校ですよ。」
「どちらの?」
拙い、どうしよう。言い逃れは難しい。
「えぇとそれは……」
と返事に困ったときだった。
「あ、電話だ。少し失礼します。」
見てみると太宰さんからだった。
自然に席を離れられるようにしてくれたんだろう。矢っ張り太宰さんは凄いと思う。

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作者名:れな | 作成日時:2017年1月13日 0時

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