愛し愛され《紅玉編》 (ページ19)

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・※ ページ19

葛葉「(ヤバいなｯ…
魔力が溢れてきてる…やるしかないか…)」

何かをやろうと葛葉。
だがこれは最後の手段だった。

『…うぅ…あっ…ﾋｭｯ…』

無理して押さえ込もうとしているのか
過呼吸になり始めている。

そんな朱里を見て葛葉は決断をする。
抱きしめていた腕を解き朱里の顔を自分に向ける。

葛葉「【俺を見ろ】」

葛葉の瞳にハートマークが現れる。
知っている人は知っているだろう。
“ チャーム ”対象者を虜にする魔術だ。
命令をすることも出来る。

『…はい』

チャームにかかった朱里は
葛葉の瞳をじっと見つめ返す。
その瞳には葛葉と同じハートマークが見える。
だが無理にかけた影響か
ハイライトが無く虚ろだ。

葛葉「【来い】」

葛葉は自分の首筋を朱里に見せて命令する。
今の朱里には首筋を見せただけでも引き寄せられる。

葛葉は改めて朱里を抱きしめる。

葛葉「【飲め満足するまで】」

『…はい』

葛葉の首筋を少し舐めてから
朱里は葛葉に牙を立てた。

ｶﾌﾟｯｼﾞｭﾙｯｼﾞｭﾙｯｼﾞｭﾙｯ

葛葉「…ｯ」

吸血鬼には2つの種類がいる。
1つは…吸血行動時に痛みに耐える者。
もう1つは察しのいい者は分かるだろうか…
［吸血行動時快楽に変わる者］

葛葉は前者だった…昔は…
いつからだろうか…それが
快楽に変わるようになったのは…

ｼﾞｭﾙｯｼﾞｭﾙｯｼﾞｭﾙｯ

朱里は尚も血を吸い続ける。
その瞳は虚ろで何を考えているか分からない。
だが、血を飲んでいくうちに
ポロポロと朱里の瞳から涙が溢れていた。

葛葉「…ｯ泣くな」

葛葉は快楽に耐えながら朱里の頭を撫でる。
朱里の涙は止まらなかった。

葛葉「(チャームはあんまり
使いたくなかったんだけどな)」