【池沢佳主馬】夏の戦争ともうひとつの恋【短編】

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庭から飛び込んできた怒号。

俺が、

この中で俺だけが…よく知ってる。


あの、俺よりゲームが強かったAの声。

一人の女が陣内家の庭に入ってくる。

携帯電話片手に。

あれで操ってたのか。

ホント、ゲームの鬼みたいだな。


「知り合いか佳主馬」
「な、なんだあの子…」
「可愛い子ねぇ」


佳主馬「…なんで…ここに…」


Aには、もう会えないって。

そう思って。


A「佳主馬…、……――！」


そう言っていきなり、Aは携帯に目を落とした。

つられてディスプレイを見ると、

ボロボロになって力無く漂う狼アバター。


A「ちきしょっ」


Aはそう吐き捨てて携帯を足元に叩きつけ、部屋の中に足を踏み入れた。

夏希が不意に画面を指差して叫ぶ。


夏希「の、飲み込まれるっ！」

佳主馬「っっ！」


キングカズマも飲み込まれて、できることなんてないのに。

衝動的にキーボードに指を走らせた。


佳主馬「やめろ…っ」

A「佳主馬、」

佳主馬「やめろよ！」


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それはコイツのアバターだ！


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A「いい佳主馬っ、それはテキトーな使い捨てアカウントのアバターだから！」


ギュウッ


佳主馬「っ!?///」


強く肩を抱かれる。

い、いきなり何…っ!?//


健二「あの、君は…」

A「説明はあとでいいですか」


陣内家の面々と健二に向かって、Aは堂々と言い放った。


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A「何体かしかアバター引き剥がせなかったから、まだ終わらない」


Aの目には、

大の大人が怯むほどのラブマシーンへの敵意が浮かんでた。

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