馬が合わない奴 ページ6
―――――――「そっかあ、確かに私も力がすべてだと思った時もあったよ。でも、そこから生まれる絆も私が思うに私が信じている絆と似てると思うんだ。」――――――――
これを言われたのはずいぶん前だ。
俺は言っている意味が分からなかった。
そして、
今もわかっていない。
―――――――――――
「おいエセン、裏取引の情報はつかめたか?」
紅茶をすすり後ろにいるエセンに声をかける。
いつも通りの無気力な声が聞こえた
「はい、世界帝はやはりここの港と太いパイプでつながれています。おそらくここの近くにある基地とつながっていますね」
「…もしかしたら最近の子供誘拐事件…関わっているのかもしれないね」
そう言って悲しそうな顔をするマフムトは今日の新聞を見ている。
「そうかもしれません、取引の項目に幸せな子供と書かれています。」
そう言って俺に資料を見せてきたエセンから受け取り、目を通す。
「…ふむ、確かに注意事項のところにうまく文字を隠しているな。」
しかし、なぜ幸せな子供を?
奴 隷にしたいのであれば健康的な方がいいのではないだろうか?
そう考えるが正解の答えが見つからない。
そう思っているとマフムトが
「幸せな子供でないといけない理由、この世の中にそうそういないだろうに…すべてを奪おうとなど悲しいことだ」
…
「仕方がないだろう、この世は世界帝が支配している。支配しているものがどうしようと人々は気にしない。自分がかわいいからな」
そういうと小さい子を見るように俺を見て口を開いた
「しかし、君は助け出そうとしているのだろう?とても素晴らしいことだ。」
「…自分の野望のためならばなんだってするだけだ。」
こいつの言動はいちいち気にさわる、
俺が正しいことをしていると言ってすぐに褒めてくる。
こいつのためにこんなことをしているわけではない
俺のためだ、
俺の野望のためにしているだけだ。
そう思っているのに心の中にはよく分からない気持ちが渦巻いていた
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作者名:natumiko | 作成日時:2018年11月2日 0時