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詩織 side
(2023年)
ふと、このラジオが始まる頃のことを思い出した。
あの頃はまだ学生で、彰さんも新人と呼ばれる頃だった。
ラジオは終了したが、今でも応援してくださる方がいるおかげで、年に一度特番を放送させていただいている。
詩織「皆さん、お久しぶりです。今年も『引っ込み思案ラジオ』スタートしました。」
彰「今年もやるんだね。」
詩織「まだ応援してくださっている方がいるのが驚きですね。」
彰「今回は記念の回なんでしょ?」
詩織「なんとこのラジオ、今年で30周年みたいです。」
彰「もうそんなに経つのかー。」
詩織「ということで、過去を振り返ろうという企画みたいですよ。」
彰「そうなの?もう忘れてることも多いと思うけどね。」
詩織「それでは、早速リスナーさんからのお便りを紹介しましょうか。彰さん、お願いします。」
彰「はーい。ラジオネーム『二人の間に挟まりたい』さんから頂きましたー。石田さん、原田さんこんばんは!」
詩織「こんばんは!」
彰「『質問なのですが、お二人はこのラジオが初対面だったのでしょうか。また、このラジオが交際や結婚に至るきっかけになりましたか?』だそうです。」
詩織「初対面では無かったですよね?私たち同期ですし。」
彰「そうだね。アニメとかで共演はしてたと思う。その時は詩織のほうが早く売れてたけど。」
詩織「今は彰さんのほうが売れてますから。初対面って覚えてます?」
彰「まだ詩織は幼かったなー。会った瞬間、めちゃくちゃハイテンションになってびっくりした。」
詩織「私、彰さんと初めて会った時に『私、この人と結婚する』って確信したんですよね。」
彰「僕も他の人とは違う何かは感じてたけど、その時まだ中学生とかだったよね?」
詩織「そうですね。私は一度会ってからずっと好きです。」
彰「っ…いきなり恥ずかしいこと言わないでよ。僕が本当に詩織のことを好きになったのは詩織が成人して告白してくるようになってからですからね!」
詩織「法律的には大丈夫ですから、ご安心ください。」
彰「でも、どうして詩織は僕にだけそんなにグイグイ来てたのかがわからない。このラジオの収録のたびに『好きです!付き合ってください!!』って。」
詩織「どうしてでしょう…?今考えると恥ずかしいです…。」
彰「でも、あのとき詩織がグイグイ来てくれてなかったら結婚してなかったかもね。」
詩織「じゃあ、良かったです!」
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作者名:つっきー | 作成日時:2023年12月29日 20時