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 さて次へ、と旅人とパイモンのほうへ体を向け直すと、「ほんとに大丈夫なのか…?」と心配するような声。興味深くてつい考え込んでしまったのだと伝えただけのはずなのに、下がった眉はそれだけじゃないだろうと語りかけてきているような気がした。




「A、すごく哀しそうなかおしてた」




 「…ううん、もう行こう。早く仙人に伝えないと」次は留雲借風真君だったよね、と旅人は奥蔵山がある方向へと足を向ける。そうか、兄弟の…李当を探しに山を下るときに、次の仙人がいる場所を教えたから知っているんだ…パイモンが不安げにしながらも付いてきたのを確認すると、何が不満だったのか彼はすたすたと歩いていってしまった。
 ただ、その割に歩幅は狭く。体格差があまりないと言っても、男女の差くらいは存在するのだ。パイモンは飛行しているので、大方私に合わせてくれているのだろう。

 どうやらまだ同行はさせてくれるようだ。
 計画のためにも、執行官や女皇の為にも、何より私の安全(いのち)の為にも。その行動に甘えて、私は静かに後ろをついていった。



***


 奧蔵山の麓にて。川か池か、水に囲まれた場所に、石のテーブルと三つの椅子が置かれていた。食器と酒壺がたくさん置いてあるのもあやしい。ふわふわとパイモンがテーブルのそれぞれの席を覗いて、「あっ、字が書いてあるぞ!」とよほど見えにくかったらしく、石に刻まれた字を睨んだ。




「“此処に帰終が座る”、“此処は帝君から借りた”……おおっ、“ここに留雲がいる”だって!」




 「もしそうなら、オイラたちで仙人の好物を作れば、あの“留雲借風真君”の気を引けるかもしれないぞ!へへっ…」…パイモンがその料理を食べたいのではという意思についてはさておき、料理を作るという案は良い。わざわざ留雲借風真君の領地に食事場が置かれているのも、借風真君自身が料理が好きだということに繋がっている可能性もある。
 それに、理水畳山真君の怒り具合からして、どすどすと領地に踏み込んで礼もなく呼び出す、というのも些か不躾であろう。

 問題は、仙人がどんな料理を好んでいるか、だが…このテーブルに来る前に、いくつかの場所に料理器具が置かれていたはずだ。

 と、言う訳で。私たちは手掛かりを探るべく、その痕跡を辿りに向かうことになったのだった。

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もゆ(プロフ) - 2024になった今でも、ずっと楽しみにしています。 (1月6日 2時) (レス) id: 72eec337ed (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2022年8月30日 0時) (レス) @page45 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます。そういって頂けるととても励みになります!一定間隔空けての更新となりますが、素敵な内容をお届けできるよう頑張りますね。 (2022年4月5日 21時) (レス) id: 10e597e23d (このIDを非表示/違反報告)
- 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです!続きがとても気になります!更新頑張ってください! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - ルリさん» コメントありがとうございます。感嘆符の数だけ気持ちが伝わってきていて私も嬉しいです。これからも更新頑張らせて頂きますね! (2022年2月20日 21時) (レス) id: d342b4dd7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:  | 作成日時:2021年1月25日 21時

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