2. ページ2
.
突如と暗くなった視界にAは恐怖で震え上がっていた。生まれて10年、こんな体験などしたことが無かった。
大人びてはいるが彼女はまだまだ子供である。母親に抱きつこうとしたが生憎近くに母親らしき人は見えない、というより暗闇で自分が何処にいるのかすら分からなかった。
｢お嬢さん、こちらへ。｣
初めて聞く声に思わず泣きそうになるAだが男は構わず公爵令嬢を抱き上げると足早に屋敷を後にした。
Aは必死に抵抗する。姫抱きをする男の腕から抜け出そうと身体を右往左往にうねらせ脱出を試みるがどれも男に通用はしなかった。
それもそうだ。年上の男性に年齢的にも体格的にも劣る未成年の子供が力で勝るはずがない。彼女の最大限の抵抗は男には可愛い遊戯にしか見えなかった。
可愛い可愛い子供の
｢いや！！はなして！！｣
自らの力で無理ならば、周りのだれかに助けを求めれば良いではないか。10歳ではありながら彼女の思考は同年代の誰よりも秀逸である。
視点を自分から他者に切り替えた彼女は遠くの人にでも聞こえるように大きく叫び続けた。
だが、男の方が一枚上手である。
｢いくら叫んでも騒音に掻き消されてしまうだけですよ、お嬢さん。｣
高い高い建物の屋上。
男は最初からここに連れてくることが目的であった。地に足をつけると逃げ出さぬように彼女を捕らえていた腕を解放させる。
Aは大泣きしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 266人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
因幡 - 続き楽しみにしてました… (2020年4月24日 13時) (
レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
えりか(プロフ) - こんばんは、初めてコメントさせていただきます。設定やストーリーがとても面白いです！続きがどうなるのかとても気になるのですが、もう物語を更新する予定は無いのでしょうか？ (2020年2月29日 2時) (レス) id: bcece27663 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きっくん x他1人 | 作成日時：2019年10月13日 21時
