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 ロッカーからブランケットを一枚取り出す。研究室に置きっぱなしのこの布は触り心地がとても良く、仮眠の際には欠かせない物だった。


 今日もこのブランケットに包まれたら、穏やかな眠りに就く事が出来るだろうか。永遠に目覚める事の無い、優しい眠りに。


 ソファに座りながらブランケットを広げ、おいで、と告げると彼女は大人しくこちらにやってきた。俺の脚の間に腰を下ろした彼女を後ろから柔らかく抱き締め、広げた大判の布でふわりと包み込む。今の俺たちはまるで繭に篭る蚕だ。


「触り心地いいわね、このブランケット」
「だろ? お気に入り。アリスの柄で可愛いし」
「ふふ。駿貴さん、アリス好きだものね」


 肩を揺らして笑った彼女が、首を後ろに傾けた。優しく細められた瞳が真っ直ぐに俺を捉える。


「私、ずっと言わなきゃって思ってたの」
「何を?」
「……私たちってね、あんな始まり方だったけど」


 元々は伊沢を好きだった彼女と、そんな彼女を好きになった俺。親しくなったキッカケは、あまり他人には話せないものだけれど。


「駿貴さんを好きになって良かったって、本当に思ってる」


 普段はクールで落ち着いた様子の彼女の、くしゃりとした子供っぽい笑顔。何故だろう。その笑顔を見ているだけで、どうしようもなく鼻の奥がツンと痺れてくる。


「当たり前だろ。だって俺だぜ」
「そうね」

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奈都(プロフ) - さっちいさん» 名作第一位更新とのありがたいお言葉で恐縮です。一年半以上も前に書いた作品ではありますが、こうして新たに読んで頂けてとても嬉しいです! (2021年8月6日 23時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
さっちい(プロフ) - 私の中の名作第1位更新しました…すごく好きな作品です! (2021年7月29日 10時) (レス) id: ebeed9cbc6 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 清華さん» ありがとうございます。悲しい終わりではあるのかも知れませんが、それでも各二人にとっての幸せの形を描いたつもりでいます。泣いて頂けたら嬉しいな、と思いながら書いていたので本望です…! (2020年4月8日 22時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
清華(プロフ) - 一気に7人分をworld endを見ますた...心痛いですよ、めっちゃめちゃ泣きました、もうきついです(笑) (2020年4月1日 16時) (レス) id: 1c085b2c66 (このIDを非表示/違反報告)
Hërø(プロフ) - 奈都さん» 夢は大丈夫だったのですが時々それぞれのメンバーの最後を思い出してグッときてます笑 (2020年1月3日 1時) (レス) id: 7ab3904f14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈都 | 作成日時:2019年12月9日 20時

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