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――寝不足が祟った。
というのが、今回の体調不良に関する俺自身の見解だった。
QuizKnockの企業化を決めたのは随分前の話だが、やはり実際に環境が変わる春を目前にすると、目の回るような忙しさだった。あちらこちらとの打ち合わせ、水面下で進めている企画、通常通りのテレビの仕事に講演に動画と、やらなければならない事を挙げていけばキリが無い。
そんな状況下なのだから、少しは睡眠時間に気を配れば良かったのだが、つい疎かにしてしまった。自分は寝ないと駄目なタイプだと分かっているのにだ。
結果、オフィスへと向かう電車で人混みに酔い、眩暈と吐き気に襲われてしまったのだ。
電車を降りた時は完全にグロッキー状態で、しかし駅に留まり続ける訳にもいかず、さっさとオフィスへ向かおうとしたものの、結果として途中で力尽きてしまった。
オフィスの入っているマンションは高台にあり、結構な傾斜の坂を上らなければならない。普段ならば何てことの無いその坂もこれだけ平衡感覚を失っていては、そり立つ壁のような強大さを感じた。
襲い来る眩暈と吐き気に耐え切れず足を止めてしまったのは、オフィスまであと二分もしない所だった。
「あー……、ヤベぇな……」
アスファルトの上にクーラーバッグを下ろし、その隣にしゃがみ込む。ぐるぐると世界が回り、深呼吸すると少し落ち着いて、けれど嘔吐感が胸のあたりまで込み上げる。これは不味い。非常に不味い。
マチのしっかりしているクーラーバッグは、早押し機を入れて持ち歩くのには丁度いい。前まではスーパーで使うカゴ用バッグを強化した物を使っていたが、今の形にしてから更に持ち運びがし易くなった。とは言え、この体調不良状態では、複数の早押し機の入ったバッグは鉛のような重さに感じた。
下手したら真昼間から道端で嘔吐し兼ねない状態で、もうどうしようもないと思っていた矢先、
「あの……大丈夫ですか？」
そんな声が聞こえた。振り向くと俺と同じぐらいの年齢と思わしき女性が立っていた。蹲る俺に気付き、心配して声を掛けてくれたのだろう。
結局、その親切な人がオフィスまで付き添いつつ荷運びをしてくれたので、何とか事なきを得た。初対面な上に全く何の関わりも無い女性に、あそこまで面倒を看させてしまった事は申し訳ないと思いつつ、正直とても助かった。
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奈都(プロフ) - Komiさん» コメントありがとうございます。トロイメライが出来上がってる二人の話なので、順番が逆になってしまうのですが、あの関係になるまでにこんな流れがあったんだな、という感じでお読み頂ければ幸いです。出来るだけマメに更新していくので是非今後もお願いします…！ (2019年9月14日 16時) (
レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
Komi(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！トロイメライの頃からizwさんの2人が大好きで、始まりのストーリーが読めるのがとても嬉しいです^^毎日更新を楽しみに生活しています笑これからも応援しています！！ (2019年9月14日 5時) (レス) id: 31bd00c83a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都
| 作成日時：2019年8月11日 10時
